【ワイナート連載後記(前半)】和食がついに世界無形文化遺産へ。京野菜の名産地丹波で、食との融合を目指したワイン造りをつづける「丹波ワイン」

【ワイナート連載後記(前半)】和食がついに世界無形文化遺産へ。京野菜の名産地丹波で、食との融合を目指したワイン造りをつづける「丹波ワイン」2013.12.05 UPDATE

この12月、「和食」が世界無形文化遺産に登録されるそうです。和食に共通する日本的な美意識がさらに世界に認識されることで、「ヨーロッパ基準のなかで評価される日本ワイン」という視点に加えて、「日本的美意識に基づいた日本ワインの評価」という環境が広がっていくといいですね。

 

「日本ワインでグラスマッチング」本年最後を飾るのは京都の「丹波ワイン」さんです。

そんな和食文化のひとつの大きな潮流にもなっている京料理になくてはならない地の野菜を産出する丹波で、「食との相性」を大切にしたワイン造りをされています。

 

現在ワイナリーを統括されているのが、第3代目の黒井衛さん。日に焼けて、口ひげを生やした精悍な風貌ですが、とても気さくな人柄です。実際に畑に出て、ひとりの農夫としても働かれています。そんな黒井さんの生産者としての側面が、ワイナリーを訪れる5日前に行われた引退会見での宮崎駿監督の「ボクは文化人にはなりたくないんです」というコメントとも重なり、ワイナートに寄せた文章にも現れたのかもしれません。あくまでも一人の造り手として、畑に立つ黒井さん、そして絵コンテを書き続ける宮崎さんが、僕の中で重なったのです。

 

そんなこともあり、今までの取材では無かったことなのですが、ふと、黒井さんの手のひらを撮影させて頂きました。この手が、畑作業をし、ブドウを摘み、ボトルを飲み手へと届けています。厚みのある、力強い、それでいて温かみのある掌です。

 

 

ワイナリーの創業は1979年。照明器具メーカーの社長だった故黒井哲夫氏が、海外で、駅のホームやカフェで気軽に楽しまれているワインの美味しさに感銘を受け、ワインを日本に持ち帰るも、なかなか海外で感じたあの感動が得られない・・・。そこで私財をなげうって、自ら京都の食文化に合うワイン造りを始めました。創業当初は、日本酒の酒蔵を借りてのワイン造りだったそうです。

 

この「連載後記(前半)」では、丹波ワインさんの「食文化との融合」を念頭に置いたワイナリー運営が、今回のワークショップにも色濃く反映しているように感じましたので、その点をまずはご紹介したいと思います。

 

和食との相性の良さを追求し、雑味の少ないワイン造りのために、果汁清澄の後に発酵される白ワイン

 

ぼく自身、丹波ワインさんへお伺いするのは今回で3回目なのですが、毎回楽しみにしているのが、併設のレストランでの食事です。わざわざお腹をすかせてワイナリーへと向かう価値があります。皆さんも丹波ワインさんへ行かれる際にはぜひレストランの予約をお勧めします。このレストランの充実ぶりも、食との相性を大切にしていることの現れのような気がしました。

 

レストランに入って、まずめに飛び込んでくるのが、窓のすぐ目の前にまで続いているブドウ畑。そうです、レストランがブドウ畑に隣接しているので、テーブルにつくと窓の向こう側には、目線の高さにブドウ樹が並んでいるのです。まるでブドウ畑の中にテーブルを持ち込んで、そこで食事をしているような気分になるのです。

 

 

そんな丹波ワインならでは、だと思いますが、繊細な京料理を念頭にできるだけ雑味の少ないワイン造りを目指しているそうです。特に白ワインでは、果汁清澄後に発酵させているとのこと。

 

ただし、併設のレストランでは未濾過のリースリングがグラスで頂けます。これが活き活きとしていて美味しい!確かに、グラスに注がれたワインには濁りが観られます。ボトル写真からは、未濾過なんだなぁ、ということがよくご覧頂けると思います。

 

 

 

 

疲れていないリースリングってこんな香りなんだな、と思わせられるような、澄んだ果実香がとても心地よかったですね。

これこそ、ワイナリーに足を運ぶ大きな価値なのかなと思います。

 

この日頂いたお料理はこちら・・・

 

ハマチのカルパッチョ蒸し鶏の燻製

 

 

かぼちゃのクリームスープにオリーブオイルとパセリ

 

 

サワラのソテー

 

 

ショコラケーキに、収穫の名残りのシュナンブランを添えて

 

 

 

今回の【連載後記(前半)】では、ワークショップの模様をお伝えする前に、丹波ワインさんが抱いている、「食事とともに楽しむことで真価を発揮するワイン造り」という理念を感じて頂きたいと思いました。

 

なぜなら、サペラヴィのワークショップの中で、頻繁に黒井さんが食事との組合せに言及され、どちらのグラスを選ぶか迷ったときの選択基準として 「どちらのグラスのほうが料理とのマッチングの可能性を広げるか」をイメージされている・・・と強く感じたからです。

 

ぜひ読者の皆様も、ご自宅で試してみてはいかがでしょうか?

酸が強すぎてスティルワインになれなかった「サペラヴィの可能性を感じた」と黒井さんをうならせたこのワークショップ。

丹波ワイン スパークリング・サペラヴィ 2012

ワイナリーにはまだ在庫があるそうです。

 

次回 【連載後記(後半)】 では、改めてこのワインを3種類のグラスで飲み比べながら、ワークショップの模様をレポート致します。乞うご期待。庄司

 

こちらが黒井さんです。

ワイナート
ワイナート

この記事は2013年12月5日(木)発売「ワイナート 第73号」に掲載されました。
こちらからPDFファイルをダウンロードしていただけます。
ワイナート PDF(324.3KB)

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  • 庄司 大輔
  • Daisuke Shoji

(社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ/リーデル社 ワイングラス・エデュケイター


99年にボルドー地方サンテミリオンの「シャトー・トロットヴィエイユ」で学ぶ。日本人初の「リーデル社 ワイングラス・エデュケイター」 。

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