「本来の味わい」を引き出すワイングラス選び

「本来の味わい」を引き出すワイングラス選び2016.06.29 UPDATE

wineglass

レストランで飲んだワインがとても美味しかったので、同じワインを手に入れて自宅で味わってみたところ、以前ほどの感動がなかった—−そんな経験をされたことはないでしょうか?

ひょっとするとそれは、グラスのせいかもしれません。

どうしてワイングラスには、たくさんの種類が?

type

さまざまな種類のワインを揃えたレストランでは大抵の場合、スパークリングワインは縦長のフルートグラス、白ワインは小さめのグラス、赤ワインは大きめのグラスでサービスされます。

また、同じ赤ワインでも、ブルゴーニュタイプとボルドータイプではグラスのかたちが異なり、さらには同じブルゴーニュタイプのワインであっても、ヨーロッパで造られたワインと、ニューワールド造られたワインでは、ベストマッチとされるグラスのかたちが微妙に違うことも。

どうしてワイングラスには、さまざまなかたちがあるのでしょうか?

ワイングラスが味わいに与える大きな影響

口へのアクセスで異なるワインの印象 type

人間の感覚器官は、機械のように常に同様の反応をみせるわけではありません。たとえ同じワインであっても、口へのアクセスが異なると、かなり印象が変わってしまうのです。

たとえば、ワインが口いっぱいに広がると酸味や渋みを強く感じやすく、反対に少しづつ入ってくると、甘みの要素が際立って感知される傾向があります。

口径の大きなグラスでワインを飲むと、ワインは口いっぱいに広がるように入ってきます。反対に、口径の小さなグラスを用いると、ワインは細い流れで少しづつ、ソロソロと口に入ってきます。

ボウルとカットの違いでも印象が変化

また、ワイングラスのボウルの形状によって、ワインの「舌の上での流れ」が全く異なります。

たとえば、口径の大きなグラスでワインを飲む時には、ただグラスを傾けるだけでワインは舌の上にゆるやかに広がります。しかし、口径の小さなグラスの場合、グラスの縁が鼻に当たるため、顎をあげなくてはワインを口に含むことができません。顎があがれば、自然とワインは速いスピードで舌の上を滑り、咽喉へといざなわれます。

このような、「口に入ってから喉の奥に消えるまでのワインの動き」も、味香の感じ方に大きく作用するのです。

「美味しくする」のではなく「本来の味わいを引き出す」

たとえば、「酸味強めのワイン」は、口径の狭いグラスがおすすめ。鼻がつかえて顎があがるため、ワインは細く、勢いよく舌の中心を走ってフレッシュな印象に。「果実味や樽の風味の効いたワイン」は、口径の広いグラスで飲むと、顎は下がったままの状態で、幅広く口中に入り、舌の両脇に旨味を絡ませながらゆっくりと広がっていきます。このワインとグラスの組み合わせが逆になると、酸味や渋味が悪目立ちしてしまうのです。

しかし、ワインとグラスのベストな組み合わせは、「ワインを美味しくする魔法」では、決してありません。むしろ、「ワイン本来の味わいを引き出している」と表現した方が、正確です。

グラスによってワインの真価が開花する

ボウルの形状、カットの位置、注ぎ口と唇とのかねあい等、グラスの条件によって、同じワインでも香りや味わいはまったく違う印象になります。

したがって、ワインの種類に適したグラスを選べば、ワインが本来持ち合わせている実力が存分に開花し、たとえリーズナブルなワインでも、その真価を値段以上に楽しむことができるのです。

とはいえ、いきなりすべての種類のワイングラスを買い揃えるのは大変。まずは、ワインを飲む時に、お家にあるさまざまなグラスを試してみてはいかがでしょうか?

Author: 高山 宗東(ワインコラムニスト)

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ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元


専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。

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