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2011/12/12

Column

10代目当主 ゲオルグ・リーデルによる、新バージョン・グラステイスティング・セミナー in Kagurazaka

みなさん今晩は。
シニア・グラスエデュケイターの庄司大輔です。

今回は、先日ゲオルグ・リーデルが来日して開催された、新しいバージョンのグラステイスティング・セミナーの模様のご報告です。

会場は、神楽坂にある隠れ家的プチホテル、アグネスホテルさん。
こちらでは、年に2−3回、私庄司によるグラステイスティング・セミナーを開催していただいてまして、社長の千賀ご夫妻やスタッフの皆様にも、個人的に大変お世話になっています。
本邦初の、ゲオルグリーデル自身による一般のワイン愛好家の方が手向けのセミナー開催ということで、お声をかけさせていただいたのですが・・・かえってご迷惑だったかも・・・いろいろと無理なお願いにもご対応いただきまして・・・感謝感謝です☆
併設のケーキショップ、コワン・ドールさんは知る人ぞ知る名店。
みなさま、こちらもゼヒゼヒ☆

【19:30 開場】
ゲオルグ・セミナーの常ですが、開場はセミナー開始の直前。
2時間前から氷水に漬けられた赤ワイン3種の抜栓、品質チェック、その後プラスチックカップへワインが注がれます。
ワイングラスじゃないんです。まずはプラスティックカップへ。
1本から6名分、けっこう贅沢ですね☆

ワインが注ぎ終わると同時に、定刻を少し過ぎて開場です。

テーブル上には3種類のグラスが並びます。
<VINUM XL> カベルネ・ソーヴィニヨン
<VINUM XL> ピノ・ノワール
<VINUM XL> シラーズ

厳かな雰囲気で、ゲオルグの挨拶からセミナーがスタート。

【最初のパートは ミネラルウォーターから】

ワイングラス・テイスティングなのですが、新バージョンのセミナーでは、まずはミネラルウォーターを使って、舌の感覚や、グラス形状による舌上での液体の流れ方の違いを再認識します。
グラス形状で、お水の味わい(ミネラルの感じ方)が変わってくるのはとても興味深いですね☆

「もっとこの水を飲むとしたら、3種類のグラスの中で、どのグラスを選びますか?」
というゲオルグの質問に、一番多かった回答が カベルネ・ソーヴィニヨン用グラスでした。
シラーズ・グラスは最もミネラルを感じ、ピノ・ノワール・グラスは、ガス入りにオススメ、とゲオルグ。

【セカンドパートは グラスとワインのマッチング】
今回のセミナーで用意されたワインは次の3アイテム。
Domaine Serene, Pinot Noir Evenstad Reserve 2007
Penfolds, Kalimna Bin 28 Shiraz 2008
Dunham Cellars, Cabernet sauvignon Xll 2006

どのワインもぶどう品種のキャラクターを明確に体現しつつも、生産者の熱意を感じさせる逸品でした☆
やはり、素晴らしいワインの一つの条件は、生産者の顔が見える・・・という点も、大事な要素だと思います。

まずは Pinot Noir(Domaine Serene)
※ 今回のポスト内では、ワイン名を英語表記、グラス名をカタカナ表記(シリーズ名は<英語表記>) しています。

プラスチックカップから、3つのグラスにワインが振り分けられます。

<VINUM XL> ピノ・ノワール に注がれたワインをグラスの内側になじませます。

「こんなふうにね、グラスを水平に持って、くるくる回すといいですよ」
オレゴン州の秀逸なピノ・ノワールがもつ、エレガントで芳醇な香りが会場に満ちてゆきます。

ところが、なんということでしょう、
最も大きな <VINUM XL> カベルネ・ソーヴィニヨン では、この素晴らしい香りが全く感じられなくなってしまうのです。
味わいも同様、酸味とざらざらしたタンニンしか感じられなくなってしまいます。
ため息とも驚きともつかない「ざわざわ」が、さざ波のように会場を覆い尽くします。

次いで Shiraz(Penfolds)
「プラスチックカップ と この素晴らしいカベルネ・グラス。どちらで飲んだ方が美味しく感じますか?」ゲオルグは問いかけます。

このシラーズワイン、「そんな馬鹿な」 と思われるかもしれませんが、<VINUM XL> カベルネ・ソーヴィニヨン で飲んだときより、プラスチックカップで飲んだときの方が、むしろ美味しく感じられてしまうんです。
ミスマッチなグラスで飲むワインが、とても残念なことになってしまう・・・ワインって奥が深いです☆

最後に Cabernet Sauvignon(Dunham Cellars)
このセミナーでは、「ダメ男くん」になりかけていた カベルネ・ソーヴィニヨン用グラスですが、ついに汚名返上のときが訪れます。

まずは、ゲオルグによるグラスの大きさのデモンストレーションです。

ゲオルグ、このままワインを入れ続けます。会場からは驚きの声が・・・。
そう、この<VINUM XL> カベルネ・ソーヴィニヨン、容量が 約1、000cc もあるんです。

本来、黒系果実の深みのある香りに、スパイス感やダークチョコレートのような官能的な甘みのある香りとミントを思わせる清涼感のある香りが相まって、素晴らしいアロマを楽しむことができるワインなのですが・・・

<VINUM XL> ピノ・ノワール にワインを移してその香りを確認すると、不思議なことに赤系果実の明るい果実香りと、すこしハーベイシャスなグリーン系の香りが中心に。全く異なった印象に変わってしまうのです。

味わいも、本来のふくよかさは全く影を潜めてしまい、骨と皮だけになってしまったかの印象です。タンニンはザラザラと粗く、粒子が大きく、まさに口中をタオルで拭われたかのような乾いた印象が強く、このワシントン州の素晴らしいカベルネの魅力など、一切感じられない残念な結果となってしまったのです。

最後にワインを、本来のグラス、<VINUM XL> カベルネ・ソーヴィニヨン に戻して各自ワインを確認。
ワシントン州を代表するワイナリー、Dunhum Cellars, その Cabernet Sauvignon の魅力に、
会場にいるすべての人々が酔いしれたのです。

【最後のパートは、チョコレートとワインのマリアージュ】
ゲオルグは、あるシェフからこう言われたそうです。
「グラスの形状によってワインの感じ方が変わるのはわかるけど、食事と一緒にワインを口に含んでしまったら、グラスの影響なんて無くなってしまうよ」

この言葉に対する答えが、セミナーに新たに加わったこのパートなのです。
上記のような疑問を感じたことのある方は、ぜひこのパートを体験してみてください。
料理とワインのマッチングという世界にさえ、ワイングラスのチョイスは大きな影響をもたらしているということを、実体感していただけることでしょう。

チョコレートは Lindt 70% カカオ。大きな板チョコを、1人1枚、ご協賛をいただきました。
ご参加の皆さん、グラスと一緒にセミナー中に食べきれなかったチョコレートを、お持ち帰りいただきました。
美味しいですよね☆
「Lindtさんの 70%カカオ」 がゲオルグの指定でした。

もしこのパートをご自身で試してみたいという方には、このチョコレートからスタートされてみてはいかがでしょうか?

チョコレートをひとかけら口に含んで、ゆっくり舌の上で溶かします。
そして、
<VIUNM XL> カベルネ・ソーヴィニヨン
<VINUM XL> ピノ・ノワール
それぞれのグラスから、Cabernet Sauvignon をひとくち。

全く後味が違うんです!!
前者では、チョコレートのビターな甘みとワインの濃厚な果実味としなやかなタンニンが一体となって、口中にいつまでも深い余韻が残るのですが、
後者では、ワインとチョコレートがバラバラ。むしろワインの酸味が際立ってしまって、とても心地良い後味、とはいきません。

ワインとフードのマリアージュも、グラスによって崩れてしまうというのは、とても興味深い体験でした☆

【最後は ワインの中に眠る「あるもの」を目覚めさせるデカンタの働きについて】

このあと、ワインの入ったデカンタを約10秒降り続けます、ゲオルグ・リーデル。

「見えますか? ワイン液面の泡。これが二酸化炭素です。」
そう言って、ゲオルグはピンマイクをデカンタの口元に。

「ブゥワー、ジュワー」という無数の泡がはじける音が会場に響き渡ります。

「二酸化炭素は、酸、そう酸っぱいのです。ですから、ワインの中に眠っているこの二酸化炭素を起こして、ワインから引き出してあげるのです。でも、熟成したワインにはできませんけれども」とゲオルグ。

セミナー終了後には、参加者とゲオルグの記念撮影も行われ和やかな雰囲気に。

沢山の方々のご協力を頂き、無事にゲオルグリーデルによる、本邦初のオープンチケット方式でのセミナーを終えることができました。この場をお借りしまして、改めて感謝申し上げます。

ゲオルグ・リーデルは、今日も世界のどこかでセミナーをしたり、新たなグラス開発に向けてのワークショップを行っていることでしょう。

また日本で、同様のセミナーをセッティングできればと思っています。
ぜひ皆様のご参加をお待ちしています。

  • 庄司 大輔Daisuke Shoji
  • (社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ/リーデル社 ワイングラス・エデュケイター

1971年神奈川県生まれ。明治大学文学部文学科卒業、専攻は演劇学。 塾講師、レストラン勤務などを経て、1998年(社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ呼称資格取得。1999年にボルドー地方サンテミリオンの「シャトー・トロットヴィエイユ」で学ぶ。2001年リーデル・ジャパン入社、日本人初の「リーデル社グラス・エデュケイター」となる。リーデルグラスとワインの深いつながりやその機能を、グラス・テイスティングを通して広く伝えるため、文字通り東奔西走している。
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