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2017/03/22

Column

急成長を遂げたワイン生産国 ニュージーランドワインの魅力とは?

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ここ10年ほどで急激にその評価を上げているニュージーランドワイン。

ニュージーランド国内の需要も、この30年で個人消費量が10倍になるなど、ワイン文化が急速に根付きつつあります。ニュージーランドは、まさに「注目のワイン産地」といえるでしょう。

日本人好みの「綺麗な味わい」

現在、国際的にも高い評価を受けているニュージーランドワイン。

爽やかな口あたりと、ストラクチャーに優れた味香のワインが多く、ことに日本の食卓には寄り添いやすいエレガントなアイテムが多数。

その歴史、産地、魅力的な造り手をご紹介します。

綺麗な酸としたたかなミネラルが特徴

ニュージーランドの魅力を世界に知らしめたソーヴィニョン・ブラン

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ニュージーランドにおけるワイン生産の歴史は1800年代に遡ります。

1819年、宣教師のサミュエル・マーズデンが、ニュージーランド北島のケリケリという地区に、実験的に100種にものぼるぶどうを植えました。彼には、「ニュージーランドの気候や土壌は、ぶどうに最適である」という確信があったようです。最初のワインができたのは、1836年のこと。やはり北島のワイタンギにおいて、イギリスからの移民ジェームズ・バズビーがワイン醸造をはじめたのが起源といわれています。

その後もワインの生産は続けられましたが、1960年代くらいまではスティルワインよりも、シェリーやポートなどの酒精強化ワインが造られることがもっぱらでした。

転機が訪れたのは、1970年代のこと。ニュージーランド最大手のワイナリー「モンタナ」の取り組みでした。南島のマールボロにソーヴィニョン・ブランを植え、スティルワインの生産を試みたのです。1980年代、このワインが世界のワインコンペティションにおいて高く評価され、ニュージーランドは一躍「比類ないソーヴィニョン・ブランの産地」として注目されるようになりました。

ソーヴィニョン・ブランだけではなかった「適種」

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この成功をきっかけに、他の産地やワイナリーでもソーヴィニョン・ブランが植えられるようになりました。

こうして、ニュージーランド中に、「素晴らしいスティルワインを生産する地域」が増えていきました。

マールボロはニュージーランド最大の生産地に成長し、南島には他にカンタベリー、セントラル オタゴ、北島にはニュージーランド第二の生産地ホークスベイをはじめ、オークランドやノースランドなどの産地が、次々に発展を遂げていったのです。

こうした過程で、実はニュージーランドには、さまざまな適種があることが解ってきました。冷涼な気候で、昼夜寒暖差も大きいニュージーランドは、そもそもエレガントなワインを育む条件を備えていますが、さらに、多彩なミクロクリマと土壌によって、多彩な品種の適地たり得たのです。

たとえば、カンタベリーではシャルドネやピノ・ノワールなどのブルゴーニュ系の品種や、ドイツ系のリースリングなども栽培され、本格的な瓶内二次発酵によるシャンパーニュ製法もスパークリングワインなども造られています。

他にも、オークランドはカベルネ・ソーヴィニョンやカベルネ・フラン、メルローといったボルドー系品種や、シラーなどの赤ワインで知られ、セントラル オタゴは秀逸なピノ・ノワールの産地として知られています。

ニュージーランドの魅力的な造り手たち

2008年に開催されたインターナショナル・ワイン・チャレンジにおいては、ピノ・ノワール部門金賞全14アイテムのうちの10アイテムが、ニュージーランドワインで占められるという快挙も成し遂げました。

今日もニュージーランドワインは、さらなる成長を遂げています。ソーヴィニョン・ブランの品種特性を活かしたスパークリングワインや、シラーやマルベックなどを用いた濃厚な赤ワインなどなど、多彩なアイテムが目白押し。

かくしてニュージーランドは、ソーヴィニョン・ブランばかりではなく、さまざまなぶどう品種を育む銘醸地として、その名声を高めました。

世界的名声を獲得する造り手も次々とあらわれます。たとえば、テロワールのちからを活かして、メルローやカベルネ・フランの潜在能力を花ひらかせた〈プロヴィダンス〉。

世界的にも比類ない独特・可憐なリースリングの造り手として知られる〈パリサー・エステート〉。

マールボロとセントラルオタゴでワイン造りに取り組む〈インヴィーヴォ〉は、2007年に設立された比較的若いワイナリーですが、「ピュアでエッジイ」と評価されるその味わいは、新世代の旗手と呼ばれています。

ユニークな日本の造り手も。滋賀県の不動産屋さんが、山林や農地を扱ううちに、アグリカルチャーの分野に進出。ついにはホークスベイに畑を持ち、ワイナリーを開いてしまったという変わり種。流石は不動産屋さん、優れたテロワールを求めて世界中をめぐり、ついに見つけたニュージーランドの牧羊地を開墾。まさに一から作り上げた畑からは、繊細にしてしたたかなワインが生れます。〈大沢興業株式会社 大沢ワインズ〉のワインをもし見つけたら、是非いちどお試しあれ。

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ニュージーランド・ワイナリーの巡り方

  • 髙山 宗東muneharutakayama
  • ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元

専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。
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