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2015/04/04

Column

【初めてのグラス選び】赤ワイングラスってどんなもの?

Vol.2【初めてのグラス選び】ワイングラスでワインをもっと美味しく!

ワイングラスとワインの関係は、密接で深い。
ワインを選ぶようにグラスも吟味すれば、ワインの楽しみはいっそう広がる。
ソムリエでワインコーディネーターとして活躍する森上久生氏と、リーデル チーフグラスエデュケイターの庄司大輔氏に、赤ワイングラス選びのポイントを聞いた。
【初めてのグラス選び】赤ワイングラスってどんなもの?
森上久生氏と庄司大輔氏

今回のテーマ

赤ワイングラスってどんなもの?

赤ワイングラス選びチャート

白ワインと赤ワインで使い分け

レストランでは、赤ワインや白ワインなど、ワインによってグラスを使い分けるのが今や当たり前になっているが、意外とその理由を知らない人も多い。リーデル チーフグラスエデュケイターの庄司大輔氏にこれを尋ねた。

「赤ワインは、白ワインに比べて要素が多いのが特徴です。醸造の段階で果皮を漬け込んだり、樽熟成をさせたりなど手間をかけるため、ワインの味わいや香りの要素をより多く含んでいるのです。その複雑な香りや味わいを引き出すためには、ワイングラスが必要です。その複雑な香りを解きほぐすための大きさはもちろん、ワインのキャラクターに適したボウル形状が香りや味わいの細やかなニュアンスを増幅させるので、ワインの特徴がわかりやすくなりますよ」

つまり風味の要素が多い赤ワインでは、より大ぶりのグラスを使うのは理にかなっているというわけだ。

ブドウ品種別で選ぶグラス

「また、ブドウ品種によってワインの味わいは大きく異なりますよね。その品種のキャラクターを損なわないワイングラスを選ぶことも、美味しく味わうポイントです。その味わいに大きな影響を与えるのは、グラスの形状なのです」と庄司氏は言う。例えば、酸味の強いピノ・ノワールの場合、膨らみが大きくて飲み口がすぼまっている形のグラスで味わうと、心地いい酸味が楽しめ、渋味のあるカベルネ・ソーヴィニヨンなら、すぼまりの緩い形がいいという。

「グラスの形状によって、どのくらいグラスを傾けた時に口の中にワインが入ってくるか、その時の流量やスピード、口中での滞留具合が変わり、それが味わいに大きく影響することがわかっています」

ワイングラスがマッチしていないと、ワインの持ち味を100 パーセント楽しめないことになる。そうならないために、これからはブドウ品種別にグラスを選ぶことをぜひ心掛けたい。

品種別、産地別でもグラスを使い分ける

庄司:上記で紹介したように、まずはブドウ品種別にグラスを使い分けるのが、セレクトの最初のステップです。グラスの機能面からみても、流通量の多い品種、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、シラーに適応しているグラスをそろえるのが基本的でしょう。森上さんは、どのようにしてグラスを選びますか?

<ヴェリタス シリーズ>

森上:私の場合は、渋味や苦味成分であるタンニンの量と、酸味に着目してグラスの形を選んでいます。もしブドウ品種がわからなくても、色合いから判断できますよ。濃い赤色ならタンニンの量が多く、渋味や苦味を強く感じる。するとカベルネ・ソーヴィニヨングラスが合うかもしれないと想像できますし、明るい赤色なら渋味が控えめだろうから、ピノ・ノワールグラスはどうかと見当をつけるのです。

庄司:なるほど、それはわかりやすいですね。

森上:膨らみ部分の直径と、口径の直径の差が少ないカベルネ・ソーヴィニヨン用のグラスを使うと、タンニンがまろやかに感じられますし、膨らみが大きく飲み口がすぼまった、直径差が大きいグラスでピノ・ノワールを飲むと、果実味と酸味がエレガントに感じられます。グラスを入れ替えてみると、ワインの個性がアンバランスに感じられ、同じワインとは思えません。
やはり品種に適したグラス選びは、ワインの個性を最大限に楽しむための大切なポイントなのです。

庄司:ところで世界の多くの国と地域でワインが造られるようになった今、ヨーロッパのような伝統的ワイン産地と、カリフォルニアやオーストラリアなどの新世界と呼ばれる産地では、同じブドウ品種で造っても、個性が違うワインが生まれます。ですからワイングラスも「品種別」から、さらに1歩進んで「産地別」も考えることが必要になってきていますね。

森上:フランスのピノ・ノワールは、ミネラルや酸味のエレガントさが特徴です。一方、新世界になると、酸味が控えめで豊かな果実味が強調される傾向にあります。同じピノ・ノワールでも、全く違う世界観が楽しめる。こういった個性や特徴を存分に引き立てるためにも、産地に寄り添う形状のグラスが出てきてもいいですね。

庄司:ピノ・ノワール、シラーに関して、リーデルでは、オールドワールド用とニューワールド用を作っています。実際に試飲しながら比較してみましょう。

2タイプのピノ・ノワールグラス

森上:まずニューワールド向けのピノ・ノワール用グラスで、ニュージーランドのピノ・ノワールを味わってみます。果実の透明感や膨らみ、酸がバランスよく、余韻も長く感じられますね。フランスのピノ・ノワールはどうでしょうか。オールドワールド向けのグラスで味わうと、ミネラル感や酸味がエレガントな印象です。グラスを取り替えて試飲してみると……味わいのバランスが崩れて、何か物足りない気がしますね。このニュアンスの差が、グラスとの相性なのでしょう。

庄司:そうですね。シラーに関しても、同じようにグラスによってニュアンスの違いが感じられると思います。ワインに適したグラスを使うと、出てきてほしい香りや味わいがしっかりと立ち上る。そして各要素が重層的に現れます。一方、最適ではないグラスで飲むと、何か一つの要素が突出したり強調され過ぎたりと、バランスを欠くイメージになります。

熟成の進み具合も視野に入れる

森上:ソムリエとしてはさらに進んで、カベルネ・ソーヴィニヨンでもピノ・ノワールでも、熟成したワインのことも考えないといけません。熟成が進んだワインの場合は、若いワインと同クラス、もしくは大ぶりのグラスで提供します。複雑なフィネスやエレガントさを細やかに引き出して楽しませてくれますからね。ワイングラスの世界は奥が深いです。それだけに、ワイングラスはソムリエにとって、勇者の剣。頼もしい武器でもあります。

庄司:ワイングラスは、ワインライフの楽しみを広げてくれますよね。この醍醐味をもっと多くのワインファンに知ってもらいたいです。

森上:グラスとワインの関係を知れば知るほど、ワインの楽しみも深くなります。レストランに限らず、ワインを飲む時にはワイングラス選びにもこだわると、新しい世界が開けますね。

今回の座談で話題になった「ワインとグラスの相性」を体験できる店舗はこちら

青山本店大阪店
ワイン王国

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この記事は2015年4月4日(土)発売「ワイン王国 No.86」に連載されました。
こちらからPDFファイルをダウンロードしていただけます。
ワイン王国 PDF(1.6MB)

  • 庄司 大輔Daisuke Shoji
  • (社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ/リーデル社 ワイングラス・エデュケイター

1971年神奈川県生まれ。明治大学文学部文学科卒業、専攻は演劇学。 塾講師、レストラン勤務などを経て、1998年(社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ呼称資格取得。1999年にボルドー地方サンテミリオンの「シャトー・トロットヴィエイユ」で学ぶ。2001年リーデル・ジャパン入社、日本人初の「リーデル社グラス・エデュケイター」となる。リーデルグラスとワインの深いつながりやその機能を、グラス・テイスティングを通して広く伝えるため、文字通り東奔西走している。
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