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2017/05/10

Column

赤ワインの渋みを、魅力的に感じさせるグラスの条件

redwine_glass

赤ワインの味わいを支える柱のひとつ「渋味」

しかし、タンニンに由来する渋味が強すぎると、嫌われてしまうことも。

「赤ワインが苦手」という人の多くは、「渋味が苦手」であることがしばしばです。

「渋味」が魅力?! 赤ワインの味わいの構造

ワインの味わいは、果実味、酸味、旨味、渋味などによって構成されています。

これらが巧く調和しているワインが「美味しいワイン」。

その調和のバランスが大きなものが「偉大なワイン」というわけです。

赤ワイングラスに求められるもの

タンニンの落としどころ

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赤ワインと白ワインの違いは、いうまでもなく「色」。

中には例外もありますが、基本的にはこの違いは、原料ぶどうの皮の色に由来しています。

赤ワインの原料となる黒ぶどうは、果皮にポリフェノールを多く含み、色素も濃厚。このタンニンが、赤ワインの特徴の大きな部分を支えます。ゆえに、「渋味」は、赤ワインのストラクチャーの根幹。また、このタンニンのお蔭で、長期の熟成に耐える強かな味わいも生み出されます。エレガントなタンニンは、いわば赤ワインの魅力そのものです。

しかし、グラスの選択を誤ると、この渋味ばかりが強調されてしまうことも大いに起こり得るのです。

合わないグラスで台無しに?!

ワインの味わいは、果実味、酸味、旨味、渋味などで構成されています。

これら味わいの要素がバランス良く均衡していることが、良いワインの条件。どれかひとつでもバランスを欠いた要素があると、それは「酸っぱいワイン」や「渋いワイン」になってしまうのです。

そして、そもそも「偉大なワイン」は、味わいの要素ひとつひとつが濃厚。ワインの造り手は、それぞれ濃厚な味わいの要素を調和させ、纏まりのある味わいに仕上げることに全精力を傾けます。こうして造られた素晴らしいワインも、そのワインに合わないグラスで飲むと、味わいの要素が濃厚ゆえに、台無しになってしまうのです。

渋味の魅力を引き出す構造とは?

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ワインのボウルには、香りを溜めるはたらきがあります。ゆえに、香りの構造がシンプルな白ワインは、小さめのボウルでダイレクトに香りが感じられるように配慮されています。したがって、香りの構造が複雑な赤ワインは、複雑さが存分に堪能できるように、大きめボウルが適している――ということになります。

ボウルのサイズ、すぼまり具合、飲み口の口径幅は、ワインが一番最初に舌のどの部分に接触し、その後どう流れてゆくのかという「ワインのフロー」と密接に関係しています。特にボルドーグラスのように、すぼまりが緩やかなグラスで飲むと、ワインは舌先を飛び越えた中心付近から舌に乗り、ゆっくりと横へ広がって舌全体に絡まります。こうすることによって、濃厚な果実味、酸味、旨味を持つ、たとえばボルドー系の赤ワインなどは、その各々の要素をしっかりと感じることができます。それぞれの味わいの真価が表現されることで、したたかな渋味とのバランスがとれ、タンニンが心地よく感じられるのです。

これが、したたかな渋味をもつフルボディのワインの実力を引き出すために必要なグラスの構造(その1)です。

もうひとつの(構造その2)とは?

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一方で、ブルゴーニュやピエモンテなど、果実味、酸味、旨味などそれぞれの要素に繊細さが伴うワインは、落としどころがやや変わってきます。

これらのワインに適したグラスは、よりボウルの高い位置でカットされているため、口径が小さく、飲み込む時に顎が上を向く構造から、口に入ったワインが横に広がらず、舌の中心に注がれます。そこに注がれたタンニンはやわらかく、バランスの良い味わいに感じやすく、まろやかな印象になります。

あくまでもメインはワイン

しかしこれらの赤ワイン用グラスは、「ワインを美味しくするグラス」では、決してありません。

適したグラスによって表現される味わいは、そもそも造り手が志向し、実現させたもの。その味わいを「正しく表現する」手助けをするのが、そのワインに適したグラスなのです。

適したグラスを用いれば、「赤ワインが苦手」(=渋味が苦手)というひとにも、自信をもっておすすめすることができるでしょう。

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  • 髙山 宗東muneharutakayama
  • ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元

専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。
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