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2016/07/15

Restaurant

レストラン利用術「スマートなレストランの入り方」

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Author: 両角 太郎(ビストロアンバロン オーナー)

前回は、電話予約の進め方についてお話しをしましたが、今日は入店の際に気をつけると良い点についてお話ししましょう。

お店は「自分の家」ではなく「公共の場」

まず、普段お客様が意識していないことだと思いますが、「お店」というのは、公共の場である、ということです。さらに言えば、「自分の家」ではなく、「他人の家」であるということです。この意識があるかどうかで、お客様の行動は大きく変わってくるのだと思います。

グランメゾンのように、お店の玄関を開けたところに受付があり、レセプショニストが待ちかまえているようなお店では起きないことでしょうが、わいわいがやがやとにぎわっている居酒屋で、玄関を開けたは良いけど、誰も出迎えてくれないことがあります。皆さんはどうされますか?

・お店のスタッフが出てくるまで待つ

・「ごめんくださーい」と声をかけてスタッフを呼ぶ

・勝手に店に入っていく

と色々な選択肢がありますが、ここは、是非、スタッフが出てくるのを待ちましょう。

ビストロアンバロンでも4人とか6人の大人数のご予約の際に、ご予約の名前を確認していないのか、いきなり入ってきて、しかもスタッフがお迎えしようとしているにも関わらず無視して、ホールの中央まで入ってきて、周囲を見渡し、仲間を見つけると「あ、ここここ」といって席に座る方がいらっしゃいます。

一方で、入り口に入ったところで待っていらっしゃり、我々スタッフがお迎えに伺うと「x時からxxの名前で予約しているものですが・・・」と名乗ってくださる方もいらっしゃります。どちらの方が、サービスする側のやる気が増すかは自明ですよね?スタッフも人の子ですから、やはり感じの良いお客様には頑張っちゃうものです。是非、カッコイイお客様で居てください。

フランスのビストロでみかけたスマートなお客さま

同様のケースを数年前のフランス訪問の際に目撃したのですが、これは、もはやマナーの問題ではなく、文化の違いか?と感じたことがありましたので、ご紹介します。

北ローヌのタン・エルミタージュにある、小さなビストロに9月に訪問したのですが、3月にミシュラン一つ星に昇格したばかりのお店です。奥様が料理人で旦那様がソムリエで2人でやっている小さなお店です。ソムリエであるご主人が私のテーブルで料理の説明をしているところに、ご予約のカップルが入店されました。時間的には、カップルは定刻のご到着という感じでした。

ソムリエは、いったんお客様の方に顔を向けたので、2人がご来店されたことは、認識しています。にもかかわらず、その後、10分くらい、私のテーブルで料理の説明をし、さらには、ワインとのマリアージュについて、色々話をしています。説明を受けている私自身が、2人のお客様を入り口で待たせていることに気まずい感じがしているのにも関わらず、ソムリエはお構いなしです。驚いたことに、待たされている二人も、当然のように玄関に立って話をし続けています。その間に、厨房のシェフは料理を作り続けています。

ソムリエが遊んでいる、あるいは気付いていない、のであればともかく、2人に気づいており、一方で接客中である、ということで、二人は「順番待ち」の状態だったのかもしれません。欧米の方は、日本人と比較して、並ぶことを厭わない傾向があるように思います。その一面だったのか、そもそも、お店に入ったら、お店の方の案内を待つのが当然、という文化のあらわれだったのか、真実はわかりませんが、ゆったりとした大人の対応がかっこいいなあ、と思えた瞬間でした。

ビストロ アンバロン(BISTRO EN BALLON)

〒106-0031
東京都港区西麻布1-9-7

TEL:03-6438-9699
http://bistroenballon.com/

  • 両角 太郎bistroenballon
  • ビストロアンバロン オーナー

金融業界21年間のサラリーマン時代の食べ手としての経験を生かし、「自分が最も通いたい店」として2009年12月にビストロアンバロンを開店。ミシュランガイド「ボンヌ・プティット・ターブル」にて赤フォークとビブマークの両方の評価を得ている西麻布のフレンチビストロ。
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