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2017/08/02

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珠玉のイタリアワイン ヴェネト州ヴァルポリチェッラの魅惑の赤「アマローネ」

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長い歴史をもち、バリエーション豊かなイタリアワインの中でも、「アマローネ」の独自性は比類ないもの、といって過言ではないでしょう。

芳醇にして濃厚。極上の料理に合わせればお互いを引き立て合い、葉巻にさえマリアージュしてしまうという大人のワインです。

最大の秘密はアパッシメント(ぶどうの陰干し)

アマローネは、イタリアはヴェネト州ヴァルポリチェッラ・クラッシコ地域で栽培された、コルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラの三品種から造られる辛口赤ワイン。最大の特徴は、収穫したぶどうを陰干しし、凝縮感を高めてから圧搾、醸造すること。比類ない味わいは、このユニークな手法から生み出されます。

アマローネが歩んだ歴史をひもとくと……

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アパッシメントの起源は古代ローマ時代

ヴェネト州には古代ローマ時代から、収穫したぶどうを陰干しして糖度を高める「アパッシメント」という醸造手法がありました。

普通、ぶどうは8〜9月に収穫されると、すぐに圧搾され、醸造過程に載せられます。しかしアマローネの場合は、収穫は9月末から10月初旬。収穫後に細竹のスノコを敷いた木の箱に、ぶどうを重なりあわないように並べ、風通しのよい納屋などで翌年の1月下旬頃まで陰干しします。

こうして乾燥させ、濃縮感を高めたぶどうからは、古代ローマ時代にはレティクム、中世の頃はアティナティコなどと呼ばれた、保存性の高い高級甘口ワインが造られました。

甘口ワインから辛口ワインへ

アパッシメントしたぶどうから造られるワインは、20世紀初頭にはレチョートと呼ばれるようになり、中には辛口に仕上げたアイテムも出現してきました。

その辛口に仕上げたワインの力強く典雅な味わいが、赤ワインとして比類ないものであることが静かに評判を呼ぶようになり、やがて、アパッシメントしたぶどうから造られるワインのうち、甘口のものをレチョート、辛口のものをアマローネと定義づけられるようになったのです。

アマローネという呼称の語源は、ビターな複雑味を表す「アマーロ(苦い)」の変形とも、『神曲』で有名なダンテ・アリギェーリ直系の末裔セレーゴ=アリギェーリ伯爵家が所有する農園「ヴィヨ・アルマロン」に由来する呼称ともいわれています。政争によってフィレンツェを追われたダンテでしたが、息子の代にヴァルポリチェッラに落ち着き、以後数百年にわたり、ご子孫はこの地に住み続けておられます。優れたテロワールを有するアルマロンのワインは、大昔からアマローネと呼ばれて珍重されていたそうです。

母親から見守られる子供のように……

基本的にアマローネに使用されるぶどうは、コルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラの三品種です。

陰干しの過程においては、常に湿度、温度、重量などが注意深く見守られます。かつて、取材させていただいた栽培農家の方は、「何処にいても、少しでも湿度を帯びた風が吹けば、納屋の窓を閉めるために駆けつけます。通気をよくするために、時折ぶどうをひっくりかえしたりもします。ヴェローナの農民は、収穫した後、冬の間もずっと、まるで母親が子供を見守るように、ぶどうの面倒をみつづけるのですよ」と、おっしゃっていました。

アパッシメントが完了すると、ぶどうの水分はおよそ35~40%減少し、それに比例して、糖分や風味が高まります。

圧搾後は、50日ほどかけてゆっくりと発酵を促され、発酵が完了した後は、樽の中などで短くとも2年は寝かされます。したがって、瓶詰めされるのは、最速でもヴィンテージから数えて4年後になります。

アマローネに適したグラスとは?

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コク深く、なめらかで、独特の旨味を持つしたたかな辛口――世界中の赤ワインの中でも、アマローネの独自性は際立ち、一線を画しています。

イタリアではアマローネは一般的に「思索の酒」といわれ、大切な友人を招いた際などに饗される、特別なワインです。

そんなアマローネの実力を存分に堪能できるのが、スパイシーで、深みや凝縮感のある香りをもつフルボディタイプの赤ワインに適した、シラー用のグラス。リーデルにはシチュエーションに合わせて様々なシリーズがありますが、どのシリーズでもシラー用の形状であればその美味しさを最大限に引き出してくれます。ハンドメイドの<リーデル・スーパーレジェーロシリーズ>『エルミタージュ/シラー』<ソムリエブラック・タイシリーズ>『エルミタージュ(シラー)』<ソムリエシリーズ>『エルミタージュ』はここぞという場面で背筋を伸ばして優雅に味わいたい時に、マシンメイドの<ヴィティスシリーズ>『シラー/シラーズ』<グレープ@リーデルシリーズ>『シラー/シラーズ』<リーデル・ヴェリタスシリーズ>『オールドワールド・シラー』は普段使いでもきちんとアマローネの個性を感じたい時に、そしてステム(脚)のないワインタンブラー<リーデル・オーシリーズ>の『ビッグ・オーシラー』はどんな場所でももっと気軽に、しかしきちんとワインと触れ合いたい時におすすめです。

すばらしいアマローネが手に入ったら、是非とも最高の状態でお楽しみください。

  • 髙山 宗東muneharutakayama
  • ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元

専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。
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