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2017/08/09

Wine

アルゼンチンを代表するぶどう品種「マルベック」に合うグラスは?

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1860年代にフランスからアルゼンチンへと渡った「マルベック」は、いまやアルゼンチンを代表する品種となっています。濃厚で、果実味豊かな、アルゼンチンのマルベックに適したグラスとは?

アルゼンチンのテロワールが「できるマルベック」を育んだ

国土の西側にあたるアンデス山脈の麓に点々と産地が展開するアルゼンチン。乾燥した気候で、昼夜の寒暖差が大きく、必要な水分は多くの場合清冽なアンデス山脈の伏流水で補われる、という特徴をもっています。

マルベックは、ボルドー系の比較的地味な品種ですが、アルゼンチンのテロワールで育むと、力強く、繊細で、ストラクチャーに優れた赤ワインとなって、持てる実力を遺憾なく発揮します。

アルゼンチンならではの味わい

独自のワイン文化を持つアルゼンチン

アルゼンチンのぶどう栽培の歴史は、16世紀に遡ります。1554年、チリからやってきたメルセード派の修道士ファン・シドロンが、スペイン人最初の定住都市サンティアゴ・デ・エステロにぶどうを植えた、というのが最古の記録。

しかしアルゼンチンワインの評価は長い間、荒々しい赤ワイン——と、海外ではネガティブに見られがちでした。それは、ワインのほとんどが国内消費されてきた背景と無縁ではありません。

現在でも、アルゼンティーナは年間約40リットルのワインを消費するといわれています。さらに70年代頃までの平均消費量は約90リットルだったといいますから、それ以前たるや推して知るべし。つまり、ワインを海外に売り出す必要性がなかったわけで、いきおいその造りも、世界的な流行よりも、国内の消費者を向いたものでした。その結果、流行を追う国際ワイン市場では「いささか時代遅れ」と判断されてしまったのでした。

しかしそれは、裏を返せば「独自性のある造り」をずっと続けて来たということに他なりません。まるでガラパゴスのように、外からは知られずひっそりと独自の進化を遂げたワイン・カントリー、それがアルゼンチンなのです。

アルゼンチンのマルベックは何故美味しいのか?

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南米の強い日差しに育まれたぶどうは、力強く濃厚。ことにアルゼンチンを代表する伝統品種「マルベック」は、ワインに醸すと、その肉厚な果皮の旨味が、毛羽立つように芳醇なタンニンとなって溶け込みます。しかし、それでいてなお、マルベックという品種の「粋」のような味わいが、ワインの中にピンとひとすじ通っているのが、アルゼンチンワインの特徴です。

この清らかで純粋な「マルベックの主張」は、どこからくるのでしょうか?

ひとつは、南米特有の豊かな太陽光が豊かな果実味を育むこと。そして、降雨量が少ないために、ぶどうの糖度が高く、ワインに醸した時にしたたかな酒精を有すること。さらに、高緯度地域であるために昼夜の寒暖差が大きく、甘味に加えて心地良い酸味が生まれること、などが挙げられるでしょう。

また、乾燥しているために病害虫の被害が少なく、農薬をほとんど使わない。同様の要因から、フィロキセラの被害が少なく、ヨーロッパ系品種のぶどうでも自根のものが多いなどの要因もあります。

そして、もうひとつの重大な要因は、「水」です。

乾燥しきったアルゼンチンの大地では、水分をほとんど必要としないぶどうであっても、灌漑が必須となります。その灌漑の水源は、国土の片側のほとんどを覆うアンデス山脈の雪解け水・伏流水に拠っているのが、数百年来の伝統なのです。

標高4000~7000メートルにおよぶアンデス山脈は、いってみれば富士山が連なっているようなもの。その連山よって濾過された水が、比類なく清冽であることはいうまでもありません。その清冽なアンデスの水によって、ぶどうの結実に必要な最低限の水分が賄われるのです。

絶品のマリアージュ

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そうしたテロワールで育まれたマルベックの味わいは、濃厚にしてクリア。豊潤な果実味、格調ある旨味、綺麗な酸、そしてストラクチャーに優れたミネラル感が、それぞれ高い次元で調和します。プラムや南高梅の梅干しを髣髴とさせる、日本人にもなじみ深い風味も特徴のひとつです。

このマルベックと、最高のマリアージュの見せるのがアルゼンチンを代表するもうひとつの産物「牛肉」です。

地元では、大きな塊の牛肉に岩塩を擦り込み、ゆっくりと時間をかけて炭火で焼き上げた名物料理「アサード」と、このマルベックは最良の相性とされています。

噛み締めるほどに肉汁がじゅるじゅると溢れてくる旨味のしっかりとした牛肉であれば、かかって塩のみでシンプルに焼き上げた調理法がベスト。そこに、果実味、旨味、酸味、ミネラル感がバランスよく均衡したマルベックを寄り添わせることで、味覚の満足感はほぼパーフェクトに満喫できるのです。

マルベックに適したグラスとは?

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アルゼンチンのマルベックには、<リーデル・ヴェリタスシリーズ>『ニューワールド・シラーズ』<グレープ@リーデル>『シラー/シラーズ』<ヴィノム・エクストリームシリーズ>『シラー/シラーズ』<ヴィノムシリーズ>『シラーズ/シラー』<リーデル・オーシリーズ>『シラー/シラーズ』など、スパイシーで、深みや凝縮感のある香りをもつ、フルボディタイプの赤ワインに適したグラスがおすすめです。

このグラスの構造は、ワインを舌先に導き、しっかりとした果実味に若干の酸味をのせ、全体のバランスを整えます。

これらのグラスを用いれば、マルベックと牛肉のパーフェクトなマリアージュは、さらに至高の極みへとのぼり詰めることでしょう。

  • 髙山 宗東muneharutakayama
  • ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元

専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。
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