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2017/09/26

Column

世界が認める「日本ワイン」。「国産ワイン」との違いは?

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徐々に世界的にも認知されるようになってきた「日本ワイン」。

また、日本で造られたワインは「国産ワイン」とも呼ばれます。

「日本ワイン」と「国産ワイン」は、いったい何が違うのでしょうか?

日本のワイン造りの歴史と深く関わる言葉

雨が多く、湿潤な気候の日本は、ワイン用ぶどうの生育環境としてはハンディの多いところといわれてきました。

そんな土地で、ワイン醸造に取り組む人びとは、さまざまな工夫や試行錯誤を重ねてきたのです。

「日本ワイン」と「国産ワイン」

日本におけるワイン醸造の困難

日本の近代的ワイン醸造の歴史は、明治時代にさかのぼります。

しかし、ぶどう生育期間に雨の多く、湿潤な気候の日本は、ワイン用ぶどうの栽培は不向きとされてきました。生食用であれば瑞々しい果実も、ワインに醸した際には水分が多くなってしまうのです。

またぶどうには、昼間の日照で甘味を、夜間の冷え込みで酸味を蓄える習性があります。ワインには、この甘味と酸味のバランスが欠かせません。つまり、醸造用ぶどうの生育環境としては、昼夜寒暖差があることが必須なのです。

しかし温暖湿潤な気候の日本では、夏場は夜間でもなかなか気温が下がりません。したがってぶどうには、どうしても酸味が乗りにくく、これまた生食には適していても、ワインには不向きとなってしまうのです。

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「日本ワイン」と「国産ワイン」それぞれの意味は?

そうした困難な環境にあっても、日本の生産者たちは明治時代以来、たゆまぬ試行錯誤を続けてきました。

そうした工夫のひとつが、日本で収穫されたぶどうをベースに、海外から輸入したぶどうや濃縮果汁を加え、酸味や風味を補う醸造手法だったのです。こうして造られたワインが、現在「国産ワイン」と呼ばれています。

これに対して「日本ワイン」とは、100%国産ぶどうを用いて、日本で造られたワインのこと。

不明確であった、「100%国産ぶどうを用いたワイン」と、「海外のぶどうや果汁を補填したワイン」の呼称を、きちんと分別しようと提唱したのが、弁護士で、日本ワインを愛する会の会長をつとめられる山本博氏でした。

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山本氏は、2003年に『日本のワイン(早川書房)』という著書を刊行した際、公にこの考え方を発表、以後、メディアにおいても「日本ワイン」と「国産ワイン」を明確に区別しようとの地道な取り組みが続けられ、2015年の10月にはついに国税庁が、「日本で収穫されたぶどうに、海外から輸入したぶどうや濃縮果汁を加えたものを国産ワイン、100%国産ぶどうを用いて日本で造られたワインを日本ワインと呼ぶ」というルールを策定するに至りました。

これが法律として施行されるのは、2018年の10月からです。

「日本ワイン」成立の背景

ワイン用ぶどうの生産には不向きとされてきた日本において、100%日本産のぶどうを用いたワイン造りができるようになった背景には、土地や気候への深い理解、その環境に適合するぶどう品種の研究、醸造技術の向上など、生産者の人びとの涙ぐましい研鑽があります。

たとえば、「昼夜寒暖差が必須であるならば、より標高の高いところに畑を作ろう」と、作業が困難な山間地に畑を作るなど、個々の生産者たちがひたむきな努力と工夫をいくつも重ねた結果、プレミアムな「日本ワイン」が造られるようになったのです。

世界が認知する「日本ワイン」

こうした努力の結果、日本でも、ピノ・ノワールやカベルネ・ソーヴィニョンなどの、ワインに適した国際品種のぶどうが作られるようになってきました。

また、その一方で、日本ならではの「甲州種」などの品種のワイン用原料ぶどうとしての優位性が、世界的にも認知されつつあります。

海外のワイン愛好家に甲州種のぶどうから造ったワインをすすめると、「こんなぶどうの味わいは、いままで経験したことがない!」と驚かれることもしばしば。

日本ワインは、長い雌伏の時を経て、今、大きく飛躍しようとしています。

「国産ワイン」と「日本ワイン」を正しく使い分けることは、私たちがまずできる、日本ワインの歴史への貢献といえるでしょう。

  • 髙山 宗東muneharutakayama
  • ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元

専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。
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