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2016/12/16

Column

二日酔いを防ぐワインの飲み方 その2

長年お酒を飲んでいると、経験値が積み重なってくるもの。

たとえば、「酢の物をツマミに日本酒を飲むと、翌日が楽」とか、「しっかり食事をとりながらワインを飲むと、あまり酔わない」などなど。

今回は、とっておきのチェイサーをご紹介いたします。

極上のチェイサーとなる「水点て抹茶」

 matcha

前回は、二日酔いの構造を考察し、そのうえで、どのように二日酔いを防ぐことができるかということを検討しました。

今回は、応用編。

けだるい二日酔いの原因は、利尿効果のあるアルコールを摂取したことによる脱水症状——というお話をしましたが、つまり対策としてたっぷり水分を取れば良いということになります。

しかし、「水ばかりそんなに飲めないよ」という向きもあるかもしれません。

そんな方におススメなのが、「水点て抹茶」なのです。

鎌倉幕府の将軍にも効いた!? 二日酔い撃退法

筆者は有職点前というお茶の家元をしています。これは、千利休さんが茶道を確立するより100年ほど前の、中世風の茶礼。

といって、決して敷居の高いものではありません。

室町時代、お茶は、その産地や銘柄を当てる賭け事の対象とされることが多く、賭博の要素が強いものでした。つまり、むしろ今よりも敷居は低かった……といえるかもしれません。

こうした趨勢に反して、賭け事ではなく、お茶そのものの味わいを究めようと考える人たちがあらわれ、茶臼や茶筅が工夫されるようになりました。

有職点前は、こうした流れに属する茶礼です。

現代の有職点前のお茶会では、甘口のデザートワインをお菓子代わりにお出しして、抹茶を召し上がっていただくこともあります。すると、お茶会に参加された方から「アルコールはあまり得意ではないのだけれど、お抹茶とワインをいただくと不思議と悪酔いしない」という声があがるようになりました。

そこで、お茶菓子としてワインを使うのではなく、ワインにお茶を合わせてみよう……との、逆転の発想が閃いたのです。

そもそも「二日酔いの薬」だったお茶

鎌倉幕府の歴史を綴った『吾妻鏡(あづまかがみ)』の建保二(1214)年二月四日の項には、三代将軍源実朝が二日酔いに苦しんだ……という記述があります。

それを聞いた栄西僧正、早速、寺から茶を取り寄せて差し上げたところ、実朝は大層喜んだといいます。

それまでも茶は何度か大陸から伝来していましたが、栄西は、現代の「抹茶」に近い洗練されたかたちで日本に持ち込んだといわれる張本人。

つまり栄西はお茶を、「二日酔いの薬」として認識していた、というわけです。

ワインとよく合う、冷たい抹茶

ワインに合わせるためには、お湯ではなく、冷たい水で点てるのがおすすめ。

「水で抹茶を点てたらダマになりませんか?」と、心配する方もあるかもしれませんが、使う前に篩にかければ、ほとんどお湯と同じように点ちます。

さらに簡単なのは、ペットボトルのミネラルウォーター。少しだけ空間をつくり、そこにお抹茶を入れてガシャガシャと振れば、ふわふわに泡立つ冷抹茶の出来あがり。ポイントは、飲むたびに振ることと、一度に飲む量だけ注ぐこと。

この「水点て抹茶」をチェイサーにワインを飲むと、格段にお酒が翌日に残らない——ような気がします。

Author: 高山 宗東

  • 髙山 宗東muneharutakayama
  • ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元

専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。
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