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2018/09/18

Wine

酸味のタイプで選ぶ、爽やかな白ワイン

仕事終わりや休日の午後、よく冷えたすっきりした白ワイン、美味しいですよね。
ワインのスタイルを構成する4つの要素は、1)アルコール、2)タンニン、3)糖分、そして4)酸です。今回は『酸』を軸にした爽やかな白ワインの選び方をご提案します。

ワインの代表的な2つの酸、『リンゴ酸』と『乳酸』

酸はワインの元となる『ぶどう果実由来の酸』と『醸造過程で造られる酸』の2つに大きく分けられます。いくつかある酸の種類の中から、果実由来の酸である『リンゴ酸』と醸造過程で生成される『乳酸』に着目します。

『リンゴ酸』とはその名前が表すように未熟な青リンゴをかじった時に感じる爽やかでストレートな酸味です。ぶどうが色づき始める頃をピークとして、果実の熟度が上がるにつれ酸度が下がるため、温暖な地域では最終的な酸度が低くなります。

『乳酸』はリンゴ酸が乳酸菌の働きによりマロラクティックファーメンテーション(以下MLF)という乳酸発酵を起こすことにより醸造中に生成される酸です。

このMLF、赤ワインではアルコール発酵の後か同時進行で行われることが多いのですが、白ワインに関しては行わないケースが多く、求めるワインのスタイルや使用する品種、生産者の意図によって大きく異なります。

MLFを行うことにより、爽やかでシャープなリンゴ酸の酸味がヨーグルトや発酵バター、クリームのようなクリーミーでまろやかな乳製品のニュアンスをまとった丸い酸に変貌を遂げ、ふくよかで複雑なワインに仕上がります。フルボディのワインを好まれる方には、おなじみの味わいかもしれません。

さっぱりとした爽やかな白ワインを飲みたい場合はMLFを行なっておらず、リンゴ酸が多く含まれた「冷涼、もしくは日較差が大きい地域」の白ワインがおすすめです。

爽やかな酸味を楽しめる代表的な白ワイン、3つのぶどう品種

1)すっきり爽やか「ソーヴィニヨン・ブラン」

冷涼な地域で栽培される、香りの華やかな品種です。ハーブや芝、青いトマト、ピーマンのような青いニュアンス。レモンなど柑橘系や青リンゴ、地域によっては白桃やメロン、またパッションフルーツのような香りが特徴的なぶどうです。

ソーヴィニヨン・ブランはステンレスタンクを用い、空気に触れない環境で醸造され、本来の香りとフレッシュさを保つためにMLFを行わないのが一般的です。

暑い時期に食卓にのぼる薬味を添える料理、コリアンダーを使ったタイ料理とも相性が良く、溌剌とした酸味とハーブの香りは、清涼感を与えてくれるワインの第一候補です。

おすすめ冷涼産地は、フランスロワール地方サンセール、チリのレイダヴァレー、そしてニュージーランドのマールボロです。

 

2)酸度の高い「リースリング」

著名なワイン評論家からも1番のお気に入りと言われることも多い「リースリング」。その魅力を知ると虜になってしまう人がいる、酸味が高いぶどう品種です。こちらも冷涼な地域で生産されています。極辛口から極甘口まで様々なスタイルのワインが作られています。

辛口のリースリングには、ソーヴィニヨンブランと共通点が多く存在します。華やかな香りを持つ品種であり、醸造方法も近い手法をとります。とはいえ、香りのニュアンスは異なり、白い花の香りや柑橘系、青リンゴや白桃にあんず、そして少し熟成が進むとはちみつやカリっと焼いたトーストの様な香ばしさ、特徴的なペトロール香と言われるガソリンのような香りなどが現れてきます。また、畑の土壌にもよりますが、ミネラルと一般的には言われる濡れた石や石灰が水に濡れたようなニュアンスを感じ取れることもある、フルーティーでエレガントなワインです。

長期熟成向きのリースリングもありますが、若くフレッシュでフルーティーなリースリングは、日本のうまみや、ほんのり甘みのある普段の料理に寄り添ってくれます。

おすすめ冷涼産地はオーストラリアのクレアヴァレー、オーストリアのカンプタールおよびクレムスタールDACです。カンガルーがいる国といない国、共にエントリーレベルから高品質なワインを見つけられます。

リースリングのスパークリングワインもおすすめです。ドイツやオーストリアでは瓶内二次発酵で造られた『ゼクト』と呼ばれるスパークリングワインもリースリングから造られており、お魚や野菜中心の前菜のお供に最適です。

 

3)柔軟性の高い「シャルドネ」

シャルドネは前述の2つの白ワイン品種と異なり、ニュートラルな品種です。柔軟性が高く素晴らしいワインを造り出す可能性を秘めているぶどうであるため、世界各地で、さまざまなスタイルのワインが生み出されています。

品種の個性が中庸であるからこそ、テロワールと呼ばれる産地の気候や土壌をはじめとした個性や能力を発揮できます。『ワイン醸造家にとっての白いキャンバス』とも呼ばれる、造り手の哲学や試みを表現できる変幻自在なぶどうです。

シャルドネを使ったすっきり爽やかなタイプといえば、ブルゴーニュ地方北部のシャブリが代表的です。シャブリは冷涼な地域でレモンやライムなどをかじったような凛としたシャープな酸味と、貝殻が混じったチョーク質の土壌由来の海のニュアンスを感じさせる白ワインです。牡蠣にはシャブリと言われますが、レモンを絞る料理に合わせると間違いありません。

そして忘れてはいけないのがシャンパーニュ。炭酸=泡も爽快感を与えるのに一役買ってくれます。シャルドネはピノ・ノワール、ピノ・ムニエと共にシャンパーニュを構成する主要品種です。シャルドネはワインに軽やかさ、フローラルや柑橘系の香りに溌剌とした酸味をもたらし、通常赤ワインに使われるピノ・ノワールとピノ・ムニエは赤いフルーツのニュアンスやふくよかさ、力強さ、丸みを与えます。

さっぱり爽やかな酸が高めのシャンパーニュというと、”シャルドネ“が多くブレンドされている、もしくはシャルドネ100パーセントで造られている”ブランドブラン”を選ぶことで、心地よい酸味が贅沢な清涼剤となるはずです。

リーデルでは、それぞれの品種専用グラスもご用意しています。爽やかな酸味を楽しむワインで、リフレッシュしましょう。

  • 猪飼圭子Ikai

2000年よりアジア系・ヨーロッパ系航空会社に在籍。乗務のかたわら2005年よりヨーロッパ各地のワイナリー訪問やセミナー参加、資格試験の勉強を通し、肌でその時々の状況を感じつつ知識と経験を積み重ねる。2011年シニアソムリエ、2015年WSETディプロマおよびワインアカデミカー資格取得。 2015年よりワイナリー同行通訳、ワイン資格試験関連の教育に携わる。
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