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2018/11/13

Wine

2018年 ボージョレ・ヌーヴォーの楽しみ方

毎年、11月の第三木曜日はボージョレ・ヌーヴォーの解禁日。2018年は11月15日(木)がその日にあたります。

ボジョレーワイン委員会の発表によれば、日照に恵まれ、健やかで凝縮した果実が育った2018年は、「珠玉のヴィンテージとして、歴史に刻まれる年となりそう」とのこと。

かなり期待できる出来栄えのようです。

ボージョレ・ヌーヴォーとは?

一般的なワインは、ブドウを絞って発酵させます。

これに対し、ボージョレ・ヌーヴォーは、収穫したブドウを、絞らずにそのままタンクに入れて醗酵。この時、発酵によって発生した炭酸ガスの影響で、リンゴ酸分解酵素が活発化し、そのリンゴ酸からアルコールが生成されます。これを、「マセラシオン・カルボニック法」といいます。

この手法で造られたワインは、発色が美しく、タンニンが少なく、リンゴ酸が分解されるためにまろやかで、通常のワインよりも早く仕上がるためフレッシュな味わいに仕上がります。まるでジュースのように飲みやすいボージョレ・ヌーヴォーの味わいは、こうして形成されるのです。

このフレッシュさを楽しむのが、ボージョレ・ヌーヴォーの真骨頂。イギリスから広まったのは、ボージョレ・ヌーヴォーの早飲みイベントです。1980年代頃には世界中で賑やかにおこなわれ、最も早く日付が変わる極東の日本では、本国フランスに先がけて最も早く飲めるということから、30年来継続的に大々的なイベントが開催されています。

新酒がイベントとなる歴史的背景

かつて、ブドウ生育圏内のヨーロッパ人たちは、村を拓けば必ずといってよいほどブドウの樹を植えました。ヨーロッパの土地の多くは石灰質の岩盤上にあるため、井戸を掘っても石灰の影響の強い水しか出てきません。そこで彼らは、ブドウを収穫してワインに醸し、一年分の水分を賄ったのです。今でも、「ワインは水代わり」などと言われるゆえんです。

とはいえ、醸造技術も未熟で、保存容器の密閉性も低かった昔のこと。ワインは一年も経つと酸化が進み、異臭のする酸っぱい味になってしまうものがほとんどでした。

そんな時に、絞りたて、発酵したてのフレッシュな新酒は、どれほど美味しかったことでしょう。新鮮なヌーヴォーを飲むことは当時の人びとにとって、喜びのイベントだったのです。

ボージョレ・ヌーヴォーの選び方

さて、ひと口に「ボージョレ・ヌーヴォー」といっても、いくつかの種類があり、それぞれに個性が異なります。

ラベルに「ボージョレ」とのみ記されているものは、ボージョレ地区で生産されたワインです。特定の産地で生産されたAOPワインですが、ボージョレ地区内であれば、どこの区画、どこの畑のぶどうでも使用できます。

「ボージョレ・シュペリュール」は、ボージョレ地域の中の特定の地区で採れたぶどうを用いて造ったワインですが、このランクは生産量が大変少なく、市場でもあまり見かけません。

「ボージョレ・ヴィラージュ」は、特定の村で採れたぶどうを用いたワインです。ボージョレ地区にはおよそ100の村がありますが、およそ40の村に対してこの呼称が許されています。

「クリュ・ボージョレ」は、ボージョレ・ヴィラージュをさらに厳選した、サンタムール、ジュリエナス、ムーラン・ア・ヴァン、シェナス、フルーリー、シルーブル、モルゴン、レニエ、コート・ド・ブルイィ、ブルイィなどの村やカテゴリーで採れたぶどうを用いて造られたワイン。ボージョレ地区の、最高級ラインです。

ボジョレーの種類に合わせてグラスを選ぶ楽しみ

「ボージョレ」は、幅広く、異なる畑の、個性の異なるぶどうをブレンドすることができます。このため、コストパフォーマンスに優れたワインが多数あるのがこのラインの特徴です。造り手の技術やセンスを感じることができるライン、ともいえるでしょう。

リーデルが、ボージョレ・ヌーヴォーにおすすめしているのは、「リースリング/ジンファンデル」対応グラス。「ボージョレ」クラスのヌーヴォーに、その実力をあますところなく開花させるグラスを使うことで、さらに食卓は盛りあがることでしょう。

また、品質の高い「ボージョレ・ヴィラージュ」や「クリュ・ボージョレ」には、ピノ・ノワール対応のグラスを使ってみるのもおすすめです。

ガメイ種のワインが面白い

実は、ここ数十年の間に、ボージョレの造り手たちは、地域の再重要品種であるガメイ種の品質をあげるための研究にいそしんできました。

土壌の分析、ミクロクリマの発見、クローンの培養、最新鋭の醸造設備の導入――こうした研究と開発のお蔭で、これまで近隣ブルゴーニュのピノ・ノワールの陰に隠れがちだったガメイは近年メキメキとその実力をあげ、ボージョレではヌーヴォー以外にも続々と、素晴らしいスティルワインが生み出されています。ブラインドテイスティングをすると、「出来の良いピノ・ノワールかな?」と見まがうこともしばしば。もちろん、ヌーヴォーの品質もあがっていることは、いうまでもありません。

「ボージョレ・ヴィラージュ」や「クリュ・ボージョレ」のヌーヴォーを、ピノ・ノワール グラスで飲んでみると、思いもよらない嬉しい驚きに遭遇するかもしれません

  • 髙山 宗東muneharutakayama
  • ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元

専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。
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