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2019/03/01

Wine

ワインの表示で最近目にするAOP。AOCとの違いとは?[ワインの格付け、地理的表示]

日本でも増えてきたお酒の地理的表示

近年日本でも、酒類の地理的表示(GI=Giographiccal Indication)を目にすることが増えてきました。GI 山梨(ワイン)や GI 山形(日本酒)、GI白山(日本酒)、GI 薩摩(焼酎)といったGI=Giographiccal Indication(地理的表示)が制定されています。

古くから続くヨーロッパの地理的表示

ヨーロッパの国々では古くから、各国独自で地理的表示および原産地の呼称の管理や統制がなされてきました。フランスの AOC、イタリアの DOC および DOCG 、スペインの DO および DOCa、オーストリアの DAC など、国ごとに自国のワインの品質及び個性の保護と認知度向上を目的に、ワイン法や呼称認定制度の整備に努めています。
これらの呼称は、ヨーロッパ各国が独自に制定してきたため、歴史的背景も認可条件も異なります。

EUの地理的表示、PDOとPGI

ヨーロッパ諸国が EU として統合した昨今、制度に違いがあると EU 全体としての品質の維持や認知拡大が困難になります。「EUとして統一の見解で品質の維持を行い、名称と品質のお墨付を与えましょう。」という意図でつくられた地理的表示制度がPDO/PGI です。

PDOのワインは、100%認定地域のぶどう

PDO=Protected Designation of Origin
原産地保護呼称(原産地呼称保護ともいわれます)
保護されている商品には赤色のラベルが表示されます。

この呼称は”地域”や”土地”とのつながりや伝統、気候風土など、生産過程のすべてのステージで土地の”何か”が最終的な製品に大きく影響を与えるものに付与されます。

土着品種や地域や土壌と親和性のあるブドウ品種であったり、気候・土壌・地形といったいわゆるテロワールであったり。その土地の個性が反映されていることが呼称として認められるための第一歩となります。

認定された地域内のブドウを 100%使い、伝統的な方法で醸造され、醸造瓶詰に至るまでの作業も地域内で行う、100%が認定地域生まれのワインです。 検査を経て、品質と特徴が、地理的環境由来と認められるワインのみが、PDO ワインとなります。

PGIのワインは、85%がその土地生まれ

PGI= Protected Geographical Indication
保護地理的表示(地理的表示保護)
保護されている商品には青色のラベルが表示されます。

PGIは PDO よりひとつ下のカテゴリーに値する呼称です。製品と土地との関連・関係性が求められ、品質や評判、個性などが土地とリンクしている必要があります。 PGIでは85 %が認定地域のぶどうであることが求められます。生産・製造過程の一部が決められた地域内で行われる必要があると定められています。

EUのPDOやPGIより厳しい呼称は有効

各国はもともとあった自国のワイン法に基づく原産地呼称やカテゴリーで、PDO と PGI のいずれかの要件を満たしている場合は各ラベルを付けワインを 市場に送り出すことができます。

その国独自の呼称の条件が EU の条件(PDO/PGI)よりも厳しい場合は、独自の原産地保護呼称を使用することも可能、ということです。そのため、今でも多くの呼称が EU 圏内で見受けられます。

有名な各国独自の呼称といえば、フランスのAOC

有名なのは、フランスの AOC システムです。フランスのワインは AOC、VDQS、Vin de Pays、Vin de Table といったカテゴリー に分類されていました。EU の統制により現在は VDQS は AOP(PDO のフランス語 表記)もしくは IGP(PGI のフランス語)に、Vin de Pays は IGP に統一され、Vin de Table は Vin de France と表記されています。

AOC に関してだけは、元来の基準・条件が EUのAOP(PDOのフランス語)の条件をクリアしているため、 AOC表記の使用が認められています。

AOCはAOPと同じく、ワインの品質と特徴の証

ブルゴーニュなどのAOCの中には、村名AOCのなかでも、特に優れた個性を持つ最上の畑 (Grand Cru) 毎にAOC が与えられています。テロワールのみならず、栽培醸造家の多様性を反映した、品質の高いワインである証明書となっています。

最低アルコール度数やブドウ糖度、最大収穫量、樹齢を含む栽培方法や 選定方法、伝統的な醸造熟成方法や法定発売日、試飲検査など、AOPよりも厳格な基準をクリアしたワインのみが各AOC を名乗り、認定シールを貼られて出荷されるわけです。

現在、ワインのAOC だけで 300 を超える数が登録されていますが、AOC のサイズは様々です。ローヌ地方にあるコートデュローヌ AOC は 400 k平米もの 広大な地域の AOC ですが、シャトーグリエというヴィオニエで造られる白ワインの AOC はわずか 4ヘクタール 弱(0.04k平米)の小さな区画を 1 つの生産者のみが所有しています。

この小さな AOC から生み出されるワインは、所有者であったネイレガ シェ家が守り続けた伝統とテロワールを多大に反映させたものとなり、フランス五大白ワインのひとつといわれています。

原産地呼称を知って、好みのワインを探しましょう

日本と EU のぶどう酒に関する経済連携協定(EPA) が2019年2月1日より発効となりました。ワインへの関税が撤廃となるため、より多くの EU 産ワインの輸入がされると予想されます。
AOC や AOP、PDO とワインに表記されていたら「EU もしくは各生産国からお墨付きを受けたワインなのだ」という目安になります。 各呼称に注目して特徴をつかみ、好みのワインを見つけてみてはいかがでしょうか?

  • 猪飼圭子Ikai

2000年よりアジア系・ヨーロッパ系航空会社に在籍。乗務のかたわら2005年よりヨーロッパ各地のワイナリー訪問やセミナー参加、資格試験の勉強を通し、肌でその時々の状況を感じつつ知識と経験を積み重ねる。2011年シニアソムリエ、2015年WSETディプロマおよびワインアカデミカー資格取得。 2015年よりワイナリー同行通訳、ワイン資格試験関連の教育に携わる。
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