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2014/08/05

Column

【和のシーンに寄りそうグラス リーデル・オー】西麻布 いちのや

和のシーンに寄りそうグラスリーデル・オー

西麻布 いちのや

第4回は「西麻布 いちのや」です。

ウナギ料理になじむリーデルの「ビッグ・オー」

創業は天保3年(1832年)というウナギの老舗「いちのや」。
川越にある本店のほか、都内には神泉と西麻布に店を構える。秘伝の濃厚なたれが染み込んだ蒲焼きは、ふっくら柔らかいとウナギ好きの間でも評判だ。とくに西麻布店は外国人客も多く、日本酒や焼酎のほかシャンパーニュやワインの品ぞろえもある。
ウナギをさばいて35年のキャリアを誇る親方の浜中昭一氏は「リーデル・オー」を使った感想を素直に語った。

「蒲焼き用の器はすぐに冷めないよう、受け皿の下にお湯を入れています。器に高さがありますが、白焼きや肝焼にしてもお客さまにお出しする皿は平らなので、いつも使っている高さのあるワイングラスと並べると、どうしてもバランスが悪くなりがち。また、赤ワイン用グラスは白ワインのものよりサイズが大きく、ひっかけたり倒しやすいですしね。その点、このビッグ・オーのグラスは足がないので重心が低く安定感があります。細身の一般的なグラスに対し、ビッグ・オーはどっしりした印象を受けました。しかも、今回使用したグラスは、ウナギに合うという赤ワインに適した大きな形状。ウナギの美味しさを広げてくれる点もいいですね。実際に、試してみましたが、グラスを変えるだけでワインの味わいや香りがいちだんと引き立つことに驚きまして……。ワインを美味しく楽しむには、グラスを選ぶ必要があると実感しました」

ウナギを美味しくするワインとグラスの関係

アンギャル:日本の夏に食べたくなる料理といえばウナギです。私も日本に来てから大好きになりました。醤油たれの香ばしさと柔らかなウナギの美味しさは、日本を代表する料理の一つですね。

浜中:ウナギといえばスタミナ食。もともと江戸時代の有名な科学者だった平賀源内が土用の丑の日に食べることを推奨したことから、夏に食べるようになったと言われています。だからこそ、夏バテ予防に食されることが多いですね。

アンギャル

アンギャル:蒲焼きにはたれの味わい、皮のクリスピーな香ばしさ、ウナギのふっくらとした身とご飯の甘味など、いろいろな要素がありますが、唯一酸味が足りません。ウナギは赤ワインとの相性がいいですが、なかでも酸味の豊かなピノ・ノワールと合わせると面白いですよ。ワインで酸味を補完できるので、素晴らしいマリアージュになります。

浜中:赤ワインが合うと聞いていましたが、シャンパーニュや白ワインを合わせるお客さまも少なくありませんね。当店ではワイン用のグラスは赤、白用で使い分けています。普段、あまり気にしなかったのですが、今回リーデル・オーでワインを飲んでみたところ、違いが今までよりはっきりわかりました。ワインの香りが立ち上ってくる心地よさがあります。

アンギャル:リーデルのグラスはブドウ品種の個性が引き立つようにボウルの膨らみや形状が機能的につくられています。例えばピノ・ノワールは、きれいな酸味があることで知られますが、その酸味をバランスよく感じられるように、グラスを傾けた時に口の中にワインがどのように広がるのか、そしてどういう味覚が引き立つのかに着目しています。だから、ワインの味わいのバランスが崩れません。

浜中:なるほど。香りや味わいがはっきり感じられますね。ワイングラスを比べる機会がありませんでしたが、これほどの違いがあるとはびっくり。ワインとグラスの相性も考えて選ぶことは、料理と盛り付ける器の関係と同じで、とても大切ですね。

アンギャル:リーデル・オーはステム(脚)がないので、テーブルやカウンターに置いても安定しますし、和食器との調和もするデザインです。省スペースですから特に和食店では使いやすいと思います。ところで、同じ蒲焼きでも、こちらのお店のものはとても柔らかくて口の中で溶けていく感じですが、こだわりのポイントは何でしょうか?

浜中さん

浜中:柔らかさの秘訣は、蒸し加減ですね。しっとりした食感で、箸を入れたときにスッと切れるようにしています。備長炭でじっくりと火を入れますが、この火加減も難しいですね。火を入れすぎると水分も抜けてパサついて身が固くなりますし、火の入れ方が足りないと生臭くなり旨味も引き出せません。ワインと同じように、蒸し加減も火加減もバランスが大切です。そして、味の決め手は180年以上受け継いでいる甘辛い秘伝のたれですね。

アンギャル:老舗の熟成したたれが旨味を高めてくれているわけですね。甘味のあるたれなので、ピノ・ノワールでも果実感の豊かなニューワールドのワインがより合わせやすいと思います。カベルネならタンニンが少なく果実味のしっかりしたものもいいし、シラーならスパイシーな風味のフレッシュなワインでも楽しめそうです。ウナギは懐が深い料理ですね。

浜中:話を聞いていると、ワインに詳しくない私でもなんだか試したくなってきますね。(笑)

アンギャル:ワインの楽しみを広げるには、雰囲気とサービス、そして料理との相性、グラスマッチングが大切です。ワインの個性を引き立てる最適なグラスがあれば、美味しいウナギとワインの関係はもっとよくなりますよ!

浜中:今日のグラスの話は、ウナギ一筋の私にもとてもわかりやすかったです。これから参考にさせていただきます!

<リーデル・オー シリーズ>

ビッグ・オー

ワインの香りや味わいを引き出すボウルの機能性は残しつつ、ステムや台座をなくし、自由なスタイルでワインを楽しめるグラスとして、リーデル家11代目マキシミリアン・リーデル氏が2004年に開発した革新的な“ワインタンブラー”。
2014年5月に新たに加わった赤ワイングラスは「ビッグ・オー ピノ・ノワール」「ビッグ・オー カベルネ」「ビッグ・オー シラー」の3種。なかでもオレゴン州のワイン生産者たちと共同開発した形状のピノ・ノワール用は魅力的な果実味を強調し、酸味とのバランスを整え、和食店などのテーブルウエアとも調和します。

浜中 昭一さんプロフィール

浜中 昭一さん
浜中 昭一さんShoichi HAMANAKA

青森県出身。上京後、郷里の先輩の紹介で料理人の修行に入り「西麻布いちのや」へ。
ウナギをさばいて35年、西麻布店では7代目付き親方として15年を迎える。ふっくらで柔らかな焼き加減は絶妙で、うなぎファンからは達人と言われるほど。評判を聞きつけた外国人客たちからも絶賛される。
創業以来の継ぎ足したれを守りながら、美味しいうなぎを調理し続ける鉄人の一人。

ワイン王国

ワイン王国

この記事は2014年8月5日(火)発売「ワイン王国 No.82」に連載されました。
こちらからPDFファイルをダウンロードしていただけます。
ワイン王国 PDF(595KB)

  • Wolfgang AngyalWolfgang Angyal
  • リーデル・ジャパン代表取締役社長/リーデル社認定シニア・ワイングラス・エデュケイター

1965年オーストリアのチロル地方、クフシュタイン生まれ。 ホテルのサービスマンをしていた1985年、大阪で開催された第28回「技能五輪国際大会(World Skills Competition)」のレストランサービス部門に、オーストリア代表として参加。金メダルを受賞する。その後1年間、「辻学園 日本調理師専門学校」等で教授を務めるうち、日本の風土に惚れ込み移住を決意。オーストリアと日本をつなぐアイテムとしてリーデルグラスを選び、1989年よりその有用性を広める活動に専念する。2000年「リーデル・ジャパン」(現RSN Japan株式会社)代表取締役社長に就任。グラスとワインの密接なる関係を、最初に日本人に認識させた人物として知られている。
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