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2023/05/18

Restaurant

ブランド・アンバサダー庄司の『つくり人を訪ねて』:SAYS FARM-KITCHEN・渡邉隆二シェフ

みなさんこんにちは。リーデル ブランド・アンバサダー(BA)の庄司です。

名古屋店の寺西店長と富山へ出張。SAYS FARMさんへの初の訪問となりました。残念ながら造り手の田向さんが急用でご不在となったため、ワイナリー見学とワインテイスティングはまた今度、ということに。再訪が叶いましたら、その模様はこのブログでご紹介いたしますね。

ところが、ところが、せっかくなのでワイナリーでのランチを、ということで頂いた、併設の「SAYS FARM KITCHEN」のお料理が、(失礼ながら)想像を遥かに超えて素晴らしかったので、本ブログではそちらを中心にご紹介します。

ほぼ写真なブログ内容となります。ほんの少しお時間がございましたら、気軽にご覧ください。

この日は、新高岡駅から車で30分ほど走り氷見市街に。街を通り抜け、山間の余川エリアに入りしばらく走ると、生活道路の交差点の草むらに、ワイナリーの看板を発見。ここを左折します。

先ほどの交差点を左折して100mほど走ると、次の看板が。ここの右に曲がると、細く急な上り坂になります。この坂を登り切ったところに「SAYS FARM」があります。

木々に囲まれた坂をかなり登ってゆくと、視界が開け、ちらほら畑が見えてきます。この畑からは、富山湾と、その手前に氷見市街を見下ろすことができます。

ワイナリー訪問時には、ルールとマナーを守って。

坂道を登り切り、降り立った駐車場からの眺望。写真右端には畑がぎりぎり見えます。その隣にはヤギなどの飼育小屋。そして道路を挟んで左側の建物が醸造棟です。

SAYS FARM KITCHEN へのエントランス前では、ワイナリードッグのマイコが出迎えてくれました

KITCHEN のある森へと続くエントランス

森の中にひっそりと佇む「KITCHEN」

この日はあいにく小雨でしたが、晴れた日には、テラスでのカフェやグラスワインを楽しむことができます。

店内は、木の茶色と白い壁で統一された優しい雰囲気。写真の右端に見えるのは暖炉。冬は、かなり寒くなるのでしょうね。

大きな窓から、木漏れ日が店内に差し込みます。

多数のグラスワインが用意されています。この日は、残念ながらアルバリーニョは売り切れでした。

庄司は運転のため、オリジナルのクラフトジンジャーエールを。寺西店長はシャルドネ・リザーブ2020をグラスで。

いよいよ、ランチのスタートです

メニューには「最初のお楽しみ・・・」と書かれている前菜。その日の仕入れで内容が変わることもあるので、その都度メニューを印刷し直していたそうなのですが、あまりにも大変なので、最終的にこのネーミングに落ち着いたそうです。

写真右から、「ホタルイカのタルト」「アジのブルスケッタ」「富山ポークのパテ」の3品。

富山名物のひとつホタルイカ。熾火で軽くスモークされ、たま味噌のソースと共に。イカの甘みが、スモークの香ばしさで一層引き立ちます。

アジの下に添えられているのが、白胡麻のムース。青魚と胡麻の相性は良いですね。こちらのアジも、熾火での軽いスモークが施されています。下敷きのパンの焼き目と、アジのスモーク、そして胡麻の香ばしさ。素晴らしいコンビネイションでした。

パテは、シェフがこだわる得意料理のひとつ、とサービスの女性の説明。滑らかでソフトな食感、とは異なる、粗挽きの仕上げで、食感はもちろん、噛むほどに富山ポークの旨味が滲み出てきます。

「農園サラダ」渡邉シェフが富山へ移ってきたときに「健康だけは崩さないように」との思いから、富山の美味しい野菜をさらに美味しく食べるために考えたレシピ。シーザーサラダ風で、ソースと卵を絡めて食べます。野菜の味を楽しめるように、ソースは薄味。好みで、添えられたパルメザンを混ぜながら。

味噌風味のフォカッチャ。これがまた「農園サラダ」のクリーミーな味わいによく合うんです。

魚料理は「新湊の桜マス」。サービスの女性が「トロトロですよ」と仰っていたので、「あー、トロ的な部位なのかな」と思っていたのですが、ひと口目で衝撃の「トロトロ感!」にびっくり。どうやったらこうなるのか、食後に渡邉シェフにお話を伺ったのですが、「素材です」とのこと(うーん謙虚ですね)。

こちらも熾火で軽ーく絶妙にスモークがかけられています。マスの上にはセリの素揚げ。下にはワラビやコゴミなどの山菜がゴロゴロと敷かれています。ソースはサワークリーム仕立てで、菊芋のチップがパラパラと。

衝撃の一皿でした。また食べたい。

メインは「富山ポーク」。美味しい豚は脂が甘いですね。ポルト酒のソースと蓮根、さつまいもが添えられています。写真奥に少しぼやけていますが、緑色がパセリのサルサヴェルデ風。オレンジがンドゥイヤという唐辛子風味のディップです。

これも衝撃の一皿。デザートはイチゴのチーズムース。

ケーキ自体はオーソドックスに美味しいチーズムースですが、添えられたソースがなんとも素晴らしい。手前ピンクはもちろんイチゴで、フレッシュなイチゴならではのキュンとした酸味は、チーズムースの中のイチゴとはまた別の種類の酸味で、味わいに複雑さをもたらしています。

そして、少し見えづらいのですが、その右側にある薄緑色のソースが「蕗の薹(フキノトウ)」のオイルを使ったソース。口にした瞬間はチーズムースやその中のイチゴの風味が全面にありますが、少しすると、蕗の薹のハーブ的な清涼感とほろ苦味を感じる蕗の薹の風味がフワッと鼻に抜けてきます。このコンビネイションが抜群です。これも、また食べにゆきたい一皿でした。

食後には、オリジナルブレンドのコーヒーか、SAYS FARM で詰んだハーブを贅沢に使ったハーブティが選べます。庄司はハーブティをチョイス。

月並みな表現ですが、ハーブの香り高く、口当たりはまろやか、嫌な苦味がありません。

ヘッドシェフの渡邉隆二さんは、ナパやヘルシンキでの経験を経てセイズファームへ。

庄司的には「香りの魔術師」とお呼びしたくなるくらい、それぞれのお皿で、料理に鼻を近づけてそのまま鼻腔で感じる香りとは別に、料理を口に含んで咀嚼した時に喉から鼻に上がってくる(日本酒的に言うと「含み香」的な)二層の香り、が仕込まれているんです、と言ったら、皆さんにも伝わるでしょうか。

とにかく、一皿一皿決して奇抜ではないのですが、富山ならではの素材を活かしながら、なおかつ複雑な香りで食事を楽しませてくれる、そんな素晴らしいお料理でした。

SAYS FARM さんには宿泊施設もあリます。ランチ後にシェフとお話しをした際に、ディナーだと、さらに手を加えた内容になるのだとか。しかも、宿泊の魅力は、運転を気にせず、田向さんのワインと共にその料理をゆっくりと楽しめる!もうそれを聞いただけでも、宿泊する価値があると思える、そんな充実した素敵なランチコースでした。

いつか、その種空白とディナー、そして田向さんのワインを、このブログでレポートしたいものです。

SAYS FARM さん、渡邉シェフ、また来ます!

SAYS FARM さんへの再訪問が実現しましたら、氷見の風土や、SAYS FARM のワイン、またその造りについて、田向さんのワイン造りに込めた思いなど、色々とお話しをお伺いして、このブログにてご紹介できればと思っています。

ランチには、今回ご紹介したコース料理のほか、もう少し気軽に楽しめるワンプレートのメニューもあります。席の予約はコースメニューのみとのことですので、もし確実に「SAYS FARM KITCHEN」でのお食事をされたい場合には、今回ご紹介したコース料理をご予約ください。絶対におすすめです。

また、ディナー営業のある日は、カフェ・タイムはなくなるそうですので、ご注意ください。詳しくは   SAYS FARM 公式サイト内「KITCHEN」のページ をご確認ください。

最後までブログをご覧いただきまして、どうも有難うございました。BA庄司(マイコ、また会いに行くね!)

  • 庄司 大輔Daisuke Shoji
  • (社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ/リーデル社 ワイングラス・エデュケイター

1971年神奈川県生まれ。明治大学文学部文学科卒業、専攻は演劇学。 塾講師、レストラン勤務などを経て、1998年(社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ呼称資格取得。1999年にボルドー地方サンテミリオンの「シャトー・トロットヴィエイユ」で学ぶ。2001年リーデル・ジャパン入社、日本人初の「リーデル社グラス・エデュケイター」となる。リーデルグラスとワインの深いつながりやその機能を、グラス・テイスティングを通して広く伝えるため、文字通り東奔西走している。
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