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2019/05/11

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オーストリアのお城ワイナリー『シュロスゴベルスブルク』

オーストリアは、上質なワインの生産地

リーデルの本社があるオーストリアは、グラスだけではありません。知る人ぞ知る上質なワインの生産地でもあります。

虜になるワイナリー『シュロスゴベルスブルク』

いくつかあるオーストリアのワイン産地の中から、『シュロスゴベルスブルク』をご紹介します。
ご案内した日本人のお客様が大ファンになって帰国されるワイナリーです。白ワインとスパークリングワインの名醸地カンプタールにあり、日本にも輸出されている別名『お城ワイナリー』です。

ウィーンから電車で西に約1時間。ドナウ川の支流、カンプ川流域のワイン産地カンプタールの中心ランゲンロイスの南に佇むクリームイエロー色の建物が『ワイングートシュロスゴベルスブルク』です。

現存している資料によると、オーストリアでも最古かつ名をはせているワイナリーのひとつです。元々シトー派修道院の修道僧たちにより1171年からワインの醸造が行われていました。

『シュロスゴベルスブルク』という名前でのワイン生産は1740年より行われています。1996年にミヒャエル&エヴァ モースブルッガ―夫妻が、ブリュンデルマイヤー醸造所の協力を得て修道院との長期リース契約を結び、ワイナリーでの醸造および建造物の管理に携わっています。

栽培面積35haの畑から赤・白・甘口・瓶内二次発酵による発泡ワインなどを生産しています。3つのラインで市場展開しており、日本では2つのライン(クラッシックスタイルで親しみやすいドメーヌゴベルスブルク、単一畑やカンプタール地域のワインの魅力を最大限感じられるスペシャリテであるシュロスゴベルスブルク)を楽しむことができます。

修道僧によりブルゴーニュから持ち込まれたPNも秀逸

白ワインの名醸地と先ほど書きましたが、オーストリアの地場品種であるツヴァイゲルトやザンクトローレント、国際品種のピノノワール(PN)などから良質な赤ワインも造られています。

修道僧によりブルゴーニュからこの地に持ち込まれたPN、カンプタールの石灰質交じりの土壌や寒暖差のある大陸性気候、また固有のテロワールも栽培に適しています。

若いうちからも楽しめますが、十分長期熟成にも耐えうる、熟した赤いベリーとはつらつとした酸味に繊細ながらも芯のあるタンニンが良いバランスを生み出しています。ほんのりバラのニュアンスを感じられる、エレガントなワインに仕上がっています。

料理に寄り添ってくれるスパークリングワイン

このゴベルスブルクはスパークリングワイン(Sekt)と甘口ワインの評価も非常に高く様々な賞を毎年受賞しています。スパークリングワインは現在3種類リリースされています。(Brut Reserve, Blanc de Blancs, Vintage)
初めて飲んだ時には、それぞれの素晴らしさに感動したものです。日本でも目にする機会が増えているBrut ReserveはPN, グリューナーフェルトリーナー(GV)、リースリング(Rie)から造られています。
オーストリアらしいさわやかさや、瓶内二次発酵を経て生み出されたクリーミーな泡。深みのあるアロマからもたらされる余韻の心地よさは、食中酒としても様々な料理に寄り添ってくれるオールマイティな一品です。

シャルドネ、ウェルシュリースリング(オーストリアで生産されているブドウ品種のひとつ。リースリングとは異なります)、GVと3種類の白ブドウで造られたBlanc de Blancsは、人気のあまり2018年の夏前に在庫が完売してしまいました。
1年弱も市場から姿を消しており、復活を心待ちにしているファンが多数いる人気のSektです。かくいう私もその1人。Sektの最上カテゴリーであるグランレゼルヴであるVintageも含め、出会った際にはぜひ飲んでいただきたい、オーストリアを代表するスパークリングワインたちです。

白ワインは、
・ カンプタールのクラッシックスタイルのリージョナルジェネリックワイン
・ 村の名前が記載されるヴィラージュワイン
・ 畑の名前を冠したクリュワイン
・ 修道院時代からの伝統製法にのっとったトラディションシリーズ
など、様々なワインが生産されています。

進む格付け制度の整備

ミヒャエルさんがドナウ支部支部長を務める協会、『トラディショナルワインギュンター』では、1992年よりドナウ川流域の畑の格付けに取り組んでいます。ワインの品質や畑の性質(土壌や気候・テロワールなど)、市場での評価や価値などを長期に渡り調査し、制度の整備を進めています。2018年度の最新の格付けではこの支部内で60の畑がOETW Erste Lage(一級畑)に認定されています。

『シュロスゴベルスブルク』ではErste Lage 5か所に区画を保有しており、LAMM, GRUB, RENNERではグリューナーフェルトリーナーを、GAISBERG, HEILIGENSTEINではリースリングを栽培しており、それぞれエアステラーゲワインとして醸造・販売しています。

おすすめのリースリング

それぞれのワインについて詳しく書きだすと、どれだけスペースがあっても足りません。5つの中から、おすすめのリースリング『ハイリゲンシュタイン』をご紹介します。

ランゲンロイス周辺はレスと呼ばれる黄土や、クナイスと呼ばれる片麻岩を中心とした堆積土壌が多い土壌構成です。ドイツ語で聖なる石の名を呈した『ハイリゲンシュタイン』は、遠い昔の植物の化石などが含まれているペルム紀の火山性土壌であり、ほかの地域とは大きく異なっています。この土壌は蓄熱効果が高く、ミネラル分も豊富でリースリングの栽培に最適です。その名の通りの聖なる石の畑で、偉大なワインを生み出す地として広く認知されています。

芯が通った凛とした酸味を骨格にし、1枚ずつ熟したレモンや白桃、ラフランスやパイナップルの果実味、花の蜜やはちみつの豊潤な甘さ、濡れた石のようなニュアンス、かすかなスパイシーさ、と十二単の色とりどりの衣を重ねていくような印象です。

複雑でふくよかな果実味とミネラル感、高い酸味と長く続く余韻の心地よさが、良いバランスを醸し出しています。熟成により、奥行きが広がること間違いなしのすばらしいワインです。

モースブルッガ―夫妻はリーデル グラスの大ファン

モースブルッガ―夫妻は、心を込めて造ったワインの個性や本質を余すところなく表現してくれる“リーデルグラスの大ファン”です。多数のグラスを所有されており、ワイナリーでも試飲用に各ワインに最適なグラスが常備されています。

2018年にリリースされた、リーデルの<パフォーマンス シリーズ>のグラスもあるから、それでも試飲してみては?と、ピノノワールとリースリングハイリゲンシュタインをそれぞれ2種類のグラスで試させて頂きました。

ワインを注いだ直後は大きな差を感じなかったのですが、30分ほどたったころでしょうか…。長期熟成に耐えうるワインは、香りの変化を確かめるために、グラスに少量残しておき、時間を空けて再確認するようにしています。自宅でも愛用している<リーデル・ヴェリタス>リースリング グラスと、新しい<パフォーマンス シリーズ>のリースリング グラス、中身は同じリースリングのはずなのに香りが全く異なり、良い意味での衝撃を受けました。

時の経過とともにそれぞれのグラスのワインの香りは開いていたのですが、<リーデル・ヴェリタス>リースリンググラスのワインを十二単をまとった深窓のお姫様とするならば、<パフォーマンス シリーズ>のリースリングは、まるで舞踏会で美しいドレスを着た何人かの女性がにこやかに優雅にワルツを踊っているかのようです。

リーデルのグラスを使い分けて楽しむワイン

食事とワインをともに楽しむときには<リーデル・ヴェリタス>リースリング グラスを。ゆっくりとワイン自体を楽しみたいときには、ワインの秘められた魅力を発見できる<パフォーマンス シリーズ>と使い分ければ、同じワインを二度楽しめそうです。

一般的なテイスティング・グラスでは嗅ぎ取れない繊細なニュアンスですら表現してくれる<パフォーマンス シリーズ>の実力を知ったとともに、長期熟成に耐えうるとわかっていながらもつい、簡単に手に入るこの環境に甘んじてまだ若いうちから飲んでしまっているハイリゲンシュタイン、今度こそ手を付けずにちゃんと熟成させよう!と心に決めた今回の訪問でした。

今年はオーストリアと日本の国交樹立150周年やEPA発効もあり、日本でオーストリアワインを見かけることが増えそうです。ぜひこの機会にお試しください。

  • 猪飼圭子Ikai

2000年よりアジア系・ヨーロッパ系航空会社に在籍。乗務のかたわら2005年よりヨーロッパ各地のワイナリー訪問やセミナー参加、資格試験の勉強を通し、肌でその時々の状況を感じつつ知識と経験を積み重ねる。2011年シニアソムリエ、2015年WSETディプロマおよびワインアカデミカー資格取得。 2015年よりワイナリー同行通訳、ワイン資格試験関連の教育に携わる。
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