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2018/06/18

日本酒の旨味を極めるリーデル 『純米』 グラス誕生 | 連載1

オーストリアのグラスメーカー「リーデル」 か ら 、 革新的 な『 純米 』グラスが 新登場 。 日本酒に造詣の深い君嶋哲至氏と、「リーデル・ ジャパン」代表のウォルフガング・アンギャ ル氏が、その開発秘話や特長を語った。

レベルアップする純米酒の今

君嶋 「リーデル」が日本酒向けの新たなグラス『純米』 を発表しました。製作プロジェクトはいつスタートしたのですか。

アンギャル リーデルが最初の日本酒向けグラスの開発をスタートさせたのが、1997年です。当時、いくつもの酒蔵から要望がありまして、アロマ豊かな吟醸酒に絞って専用グラスを開発し、2000年にリリースしました。その時の宿題として残ったのが、純米酒用のグラスでした。純米酒用の開発には時間が必要でした。本格的なプロジェクトがスタートしたのは2010年で、実際に製品として仕上がるまで8年。『大吟醸』グラスを発表した時からと考えると、構想から完成まで8年かかったことになります。

君嶋 日本酒用のグラスとして最初に手掛けたのが『大吟醸』だったのですね。

アンギャル はい。アロマが華やかな吟醸酒に的を絞りました。〝大吟醸酒用〟とわかるように、パッケージに大きく「大吟醸」と表記しています。ところが、消費者の皆さまには〝日本酒用万能グラス〟と受け取られてしまったようで。(笑)

君 嶋 『大吟醸』グラスは、ワイングラスの形状に近いですね。独特の吟醸香が立ち上り、より美味しく楽しめることで、多くの人が日本酒を見直すきっかけになりました。

アンギャル 日本酒に詳しい君嶋さんにそう言っていただけるとうれしいです。

君嶋 日本酒は種類が多く、吟醸酒はその中の一つにすぎません。しかし元々、日本酒は米と水だけを原料に造られた純米酒を指すことが多いですね。一言でいうと米本来の旨味を楽しめるのが純米酒です。米由来のふくよかな味わいが広がり、複雑なニュアンスがあるのが魅力。だからこそ純米酒の良さが引き出されるグラスの登場を待ち望んでいました。

アンギャル 特に純米酒は、原料となる米の微妙なニュアンスの味わいが魅力なので、そこをとう引き出せるかが課題でした。

君嶋 純米酒と吟醸酒の特長は、ある意味対局なので、グラスの形状もかなり異なるものになりましたね。特に純米酒の中には山廃や生酛などの製法があり、よりふくよかな旨味を楽しむものもあります。造り手によっては、強烈な癖のあるスタイルに仕上げて、通好みとする趣が今もありますし、さらには熟成させた古酒もありますから、純米酒といってもひとくくりにできません。

アンギャル 『純米』グラス の開発は 君嶋さんにもアドバイスいただきなが ら、製品を作り上げるためのワーク ショップを 回も行いました。そうやっ て最終的に絞り込んだ5つの形から、 モンラッシェタイプのような 口 径 の 大 きい、ボウルが 大 きなものに 決 まりました。

君嶋 多様な味わいの純米酒の旨味をしっかり受け止めて、その個性と良さを鮮やかに映し出してくれます。

アンギャル 『純米』グラスの開発に当たって、私も日本中の純米酒を飲 み 比 べましたが、本 当 に 奥 が 深 い。今では、すっかり日本酒ファンになってしまいました。(笑 )

君嶋 この 10年ほどで、日本酒はドラスティックに 変 革 を 遂 げています。日本酒のタイプを見分ける一つの目 安 と し て 、米 をどれだけ精米したかの「精米歩合」があります。精米歩合 が 70パーセント以下で本醸造 、 60パーセント以下なら吟醸、 50パーセント以下なら大吟醸という表記ができ ますが、最近は精米歩合にはこだわらないという造り手も珍しくありま せん。精米歩合よりも米そのものの品質にこだわる蔵元が多くなっているのです。また農家から米を買うだけではなく、蔵元が自ら米を育てる時 代 が 来 て い ま す。

アンギャル 米 作りから 醸 造 まで、というわけですね。ワイン造 りのために自社畑を所有して、栽培の段階からブドウの品質を高める努 力 を しているのと 同 じで す ね 。

君嶋 原料のブドウの品質が大切な よ う に 、 日 本 酒 でも 原料 の米の品質が問われる時代になりました。オーガ ニ ッ ク や ビオロジック に近い 栽培 法を用いる造 り 手 もいて 、酒 に な っ た時の味わいのピュアさや奥行きは 格段に違っています。原料米の品質 が高くなってきたからこそ、純米酒 の 美 味 しさもレベルアップしています。

『純米』グラスの機能性と魅力

君嶋 実際に、『純米』グラスの機 能を体感してみましょう。山廃仕込みの純米酒『花巴』を『大吟醸』グラスと『純米』グラスで比較試飲し ま す 。 こ の 酒 は 自 然 酵 母 を 使 い 、 旨 味 もあり 酸 味 も 楽 しめます。

アンギャル 違いますね! どちらのグラスで味わっても美味しいと思いま す が 『、 大 吟 醸 』 グ ラ ス よ り 『 純 米 』グ ラ ス の 方 が 、マ イ ル ド と い う か クリ ーミーな印象になります。口径の広い『純米』グラスは、お酒が口全体に一気に広がり、ボリューミーながらすっと 流 れ る 感 じ が します。 『大 吟 醸 』 グ ラ ス で は 感 じ ら れ な か っ た 、 味 わ い の膨らみや複雑さも出ていて、同じお酒ではないみたいです。

君嶋 このように違いを体感すると、グラスの機能性にあらためて 驚 かされます。お猪口などで飲むとアルコール感が 強い と 感じるお酒でも 『純 米』グラスで 味 わうと 、 まず 口 当 たりが柔らかになります。香りのニュアンスも 時 間 とともにいろいろ 引 き 出 されま す し 、 ボリュ ーム 感 のあるお 酒 でも 、コクを感じながらも軽やかさが出ますね。これこそが『純米』グラスの魅力だと思います。

アンギャル 純米酒の旨味や複雑さの良さが、グラスを通してストレートに飲み手に伝わります。ほかのグラスでは気づかなかった味わいのニュアンスまでわかるのではないでしょうか。

君嶋 精米歩合が60%以下の特別純米酒や純米酒は、原料で あ る 米 の 品 質 で 味 わいが 大 きく変 わります 。 ま た 、 純 米 酒 に は 熟 成させたタイプもあります。米の旨味を 楽しむという点 で は 、 こ の グ ラ ス の登場で日本酒の飲み方が変わります ね 。 年 ものの古 酒 『 玉 響 』 を試 飲 してみましょう 。 自 然 農 法 米 を使 った 逸 品 ですが、いかがですか?

アンギャル これは、香りといい、何て表現すればいいのでしょう。日本酒 だということもわからないかもしれません。上質な熟成香が印象的で、味 わ い は 滑 ら か で 旨 味 が し っ か り あ り 、余 韻 が と て も 長 い で す 『 純米 』 グラスは古酒の魅力も引き立ててくれますね。

君 嶋 『 大吟 醸 』 グラス 、『 純 米 』 グラス のそれぞ れ に 銘 酒 を注けば 〝 世 界に羽ばたくSAKE〟として日本酒の魅力を再発見してもらえると確信しています。家庭での日本酒の楽しみ方も変わりますよ、きっと。純米酒と一緒にプレゼントしたら喜 ばれそうです。

アンギャル 食卓で純米酒の美味しさを 再 発 見 するきっかけになればうれ しいですね。さらに、この『純米』グ ラスが 世 界 のレストランシーンで、ワイ ン や シ ャ ン パ ー ニ ュ と 同 じテ ーブ ルに 並び楽しんでもらえるとすれば、日本酒 フ ァン として はうれしい 限り 。グラスとお酒の魅力を世界に広げていきたいですね 。

<エクストリーム> 純米(1個入) 3,240円

 

【君嶋哲至氏】

創業明治 25 年の酒販店「横浜君嶋屋」の4代目。希少 な日本酒、焼酎の取扱いのほか、直輸入ワインなども 手掛ける。ワインスクール講師としても活躍している。

取材協力 「恵比寿 君嶋屋」 東京都渋谷区恵比寿 1-6-1
アトレ恵比須 西館4F TEL:03-5475-8716
創業 1892 年の酒類専門店「横浜君嶋 屋」による、お酒のセレクトショップ とスタンディングバー。ワイン、日本 酒、焼酎などをそろえている。

  • Wolfgang J. AngyalWolfgang J. Angyal
  • リーデル・ジャパン代表取締役社長/リーデル社認定シニア・ワイングラス・エデュケイター

1965年オーストリアのチロル地方、クフシュタイン生まれ。 ホテルのサービスマンをしていた1985年、大阪で開催された第28回「技能五輪国際大会(World Skills Competition)」のレストランサービス部門に、オーストリア代表として参加。金メダルを受賞する。その後1年間、「辻学園 日本調理師専門学校」等で教授を務めるうち、日本の風土に惚れ込み移住を決意。オーストリアと日本をつなぐアイテムとしてリーデルグラスを選び、1989年よりその有用性を広める活動に専念する。2000年「リーデル・ジャパン」(現RSN Japan株式会社)代表取締役社長に就任。グラスとワインの密接なる関係を、最初に日本人に認識させた人物として知られている。
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