ワイングラスの名門ブランド - RIEDEL(リーデル)
TOP > ENJOY WINE > Column > ワイナート記事の舞台裏(1)岩の原葡萄園のマスカット・ベーリーAのメッセージとは?

2013/03/09

Column

ワイナート記事の舞台裏(1)岩の原葡萄園のマスカット・ベーリーAのメッセージとは?

ワイナート誌上での、年4回の連載がスタートしました。
テーマは「日本ワインでグラスマッチング」
初回は、岩の原葡萄園さんのマスカット・ベーリーAでワークショップを行い、様々な形状のグラスでこのワインを飲み比べました。
いったいどんなグラスが、最後に選ばれたのでしょうか?

取材を通じて最も心にひっかかった言葉 :とうしん‐だい【等身大】

とうしん-だい【等身大】

1)人の身長と同じ大きさであること。「—の蝋(ろう)人形」

2)誇張も虚飾もない、ありのままの姿。「—の人間ドラマ」「—のヒーロー像」

3)持っている力に見合うこと。「—の国際交流」「—の取り組み」

ワークショップの最終選考に選ばれた3種類のグラスの中から、
なぜ、最も小振りなグラスが選ばれたのでしょうか・・・。

その理由は、岩の原葡萄園のある方が発したこの言葉に秘められているように思えました。

リーデルのワークショップとは・・・
3種類のグラスにまで絞られるまでの経緯・・・
最終選考、ワイナリーでの白熱の意見交換・・・
岩の原葡萄園の哲学・・・
などなど、

紙面では書ききれなかった部分を、3回に分けてブログでお伝えしてゆきますので、お時間のあるときにご覧ください。

僕にとってのワイナートとは

・・・写真はきれいだけど・・・

・・・ソムリエの資格試験には関係ない生産者の詳細ばかりが特集されている・・・

・・・かなり偏ったマニアックなワイン雑誌・・・

脱サラして、全く経験のない飲食業に飛び込み、ワインを勉強し始め、少しずつワイン知識が増えていったころ、ワイナートが創刊されたんでしたっけ。

その頃のワイナートに対するイメージは上のようなものでした。

いかにワイン知識、そして理解度が低かったか・・・。

最初は季刊でしたよね。

久しぶりに2号のブルゴーニュ特集を開いたら、今号と同じヴォーヌ・ロマネがテーマです。

最初の生産者紹介はアンヌ・グロ、若いなー。

その次がメオ・カミュゼ、エマニュエル・ルージェと続きます。

さて70号ではどんな造り手が取り上げられているのか、まだお持ちでない方はぜひお読みください。

2号と同じく女性の造り手でしたが、やっぱりこの人なくては・・・ですよね(^^)

今では毎号欠かさずに読んでいるワイナートですが、昔を振り返って、その時々のワインとの関わりを思い出させてくれるような、思い入れ深い存在です。

そんなワイナートさんで、年に4回の連載を書かせて頂くことになりました。

これはもう、感無量です。。。

今回のテーマは、グラスを切り口に見る日本ワイン

すでに、70号の記事(111p)をお読みいただいた方もいらっしゃるかもしれません。

連載のテーマは「日本ワインでグラスマッチング」です。

4つのワイナリーのご協力を得て、そのワイナリーの顔となるワインをターゲットに、リーデルのグラス形状選定のためのワークショップの手法を実践します。
その過程で、ワイナリーがワインに込めたメッセージや造り手の哲学などを探ってゆければ・・・という企画なのです。

初回は名にし負う豪雪地帯、新潟県上越市にある岩の原葡萄園さんの「マスカット・ベーリーA」をテーマにスタートしました。ご存知の通り、岩の原葡萄園はこのマスカット・ベーリーAの生みの親である川上善兵衛が興した葡萄園です。

さて、企画段階での期待通り、岩の原葡萄園さんからは意外なご発見や造り手ならではのコメントも伺うことができた有意義な取材でした。

まずは、ワークショップってなに?

どうしてもここを理解して頂かないと、残りの3回の連載も意味がかすれてしまいますので、この初回のブログでは「ワークショップ」についてお話しをさせてもらわなければなりません。今後の新世代のグラステイスティング・セミナーについての情報などが含まれていますので、おつきあいください。

ワインの香りや味わい、質感や余韻など、ワインの印象はグラス形状によって大きく変わります。この事実を前提に、9代目クラウス・リーデルは考えました。

・・・ブドウ品種には、それぞれ特有のキャラクターがある。それならば、ブドウ品種のキャラクターごとに、最適なボウル形状があるのではないか?・・・

リーデルは、ブドウ品種の個性を最もよく感じられる形状を選ぶために、生産者の感性を重要な指標として、数多くのテイスティングを繰り返しながら、最適なボウル形状を選定してゆきます。
このテイスティングがリーデルのオリジナル・メソッド「ワークショップ」なのです。

すごく単純に言ってしまうと「とにかく数多くの形状のグラスでワインを飲み比べて、ダメな(本来感じられるべきワインのキャラクターを感じられない)形状から消去してゆく」というもの。
かなりアナログなんです。

意外にもあのボウル形状が!赤ワインのワークショップで最終選考フライトの常連がいた!

世界中のメジャーなブドウ品種から固有品種、その国に特有のお酒まで、数多くのワークショップを行っていると、最終選考フライトによく顔を出すグラスがあるようです。

どのグラスだと思いますか?
その優秀なボウル形状は?

実は「シラー系」の形状が、比較的多くの黒ブドウ品種のワークショップで「かなりいいところ」まで残っているようなのです。

全ての公式ワークショップに参加するゲオルグ・リーデルが行う、最新のグラステイスティングには、そのデータが反映されているのかもしれません。
この最新バージョンのセミナーは、日本での正式採用の準備が進んでいるところですので、きちんとお知らせできる状態になりましたら、改めて公式HPやブログなどでお知らせ致しますね。
乞うご期待!

岩の原葡萄園が3つに割れた!白熱した議論勃発!

最終選考に残った3つのグラスが、マスカット・ベーリーAの3様の可能性を引き出した】

今回は変則バージョン。

最終の3種類に絞るまでを、リーデルジャパンのグラス・エデュケイター達が担当して、最終選考を岩の原葡萄園さんで行って頂くという形式で行われました。

詳細は次回の記事でお伝えしますが、最終選考に残ったのは次の3種類のグラスです。

1)<オヴァチュア> レッドワイン(6408/00)

2)<ヴィノム> ピノ・ノワール(6416/7)

3)<ヴィノム> シラーズ/シラー(6416/30)

ようやく3つにまで絞れたのですが、でも、ここからがタイヘンなんです。

最終選考に残るくらいですから、それぞれのグラス、悪くないんです。

マスカット・ベーリーAのそれぞれ異なる3様のキャラクターを魅せてくれるので、ここから1つの形状に絞りきるのが最後で最大の難所です。

もちろん、最終的には1つの形状に絞ることができない場合もあります。
シラー種のワークショップでは、
・ローヌのシラー向きの形状
・豪州シラーズ向きの形状
でも、それが答えなんです。

最後の最後は、生産者が、そのブドウ品種にどんなキャラクターを求めているか・・・
そのワインから飲み手にどんな香りや味わいの印象を受け取ってほしいか・・・
ここにかかってくるのです。

⇒続き:ワイナート記事の舞台裏(2)宮本武蔵とジョシュ・ジェンセンと川上善兵衛

  • 庄司 大輔Daisuke Shoji
  • (社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ/リーデル社 ワイングラス・エデュケイター

1971年神奈川県生まれ。明治大学文学部文学科卒業、専攻は演劇学。 塾講師、レストラン勤務などを経て、1998年(社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ呼称資格取得。1999年にボルドー地方サンテミリオンの「シャトー・トロットヴィエイユ」で学ぶ。2001年リーデル・ジャパン入社、日本人初の「リーデル社グラス・エデュケイター」となる。リーデルグラスとワインの深いつながりやその機能を、グラス・テイスティングを通して広く伝えるため、文字通り東奔西走している。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pinterest
TOPへ戻る