一房100万円!? 石川県が生んだ奇跡のぶどう「ルビーロマン」とは?

一房100万円!? 石川県が生んだ奇跡のぶどう「ルビーロマン」とは?2016.07.15 UPDATE

rubyroman

2015年7月、金沢市中央卸売市場における初競りで、一房100万円という値段がついたぶどうがあります。「奇跡のぶどう」とも呼ばれる「ルビーロマン」です。ひと粒の直径が3センチ以上にもなる破格の大粒で、鮮やかな赤い果皮と、濃厚な甘味が特徴。

さらには、この超のつく高級ぶどうでワイン造ったという、ワイン好きには聞き捨てならない情報も……

絶品超高級フルーツは、日本ならではの文化

フルーツというと、桐箱に入れられた高価なメロンなどを想像する方も多いでしょう。しかし、これはとても日本的なイメージで、海外ではフルーツはあくまでも日常食品として扱われることが多いようです。

古来、日本人は果物を特別な食べ物と考えており、江戸時代にはその品質を追求する篤農家も多くあらわれました。絶品フルーツがいただけるのは、品種改良や特別な栽培方法など、日本の作り手さんたちが代々研究を重ねてきた成果といえるでしょう。今、こうした「日本の超高級フルーツ」は、海外でも高く評価されています。

県をあげておこなわれた、ルビーロマンという挑戦

試行錯誤の連続だった研究・開発

ルビーロマンの開発は、平成7(1995)年、石川県かほく市にある石川県農業総合研究センター砂丘地農業試験場ではじまりました。この頃ぶどう市場は、それまでの主流であっつた小粒種から、巨峰などの大粒種に変動しており、小粒種を多く栽培していた石川県のぶどう農家は、売り上げを低迷させていました。大粒種の開発は、この状況の打開策だったのです。

開発は、神奈川県原産の大粒ぶどう「藤稔(ふじみのり)」に赤系系統の品種を交配させることからはじまりました。もちろん、優れた新品種など一朝一夕に生み出せるものではありません。ようやくルビーロマンの原種となるぶどうが実ったのは、平成13(2001)年のことでした。

ルビーロマンブランドを守る厳格な基準

こうした努力を経て、ルビーロマンは石川県内で栽培されるようになりました。

平成20(2008)年にはじめて市場に出荷された際には、一房10万円の最高値がつき、以来、高級ぶどうとしての認知を広げ、平成23(2011)年の初競りでは50万円の最高値がついています。

ルビーロマンというブランドを守るため、厳しい基準がもうけられています。

ひと粒の大きさは、粒経31mm、20g以上で、糖度は18度以上なくてはルビーロマンとは認められません。また、色の美しさも守らなくてはならない重要な基準で、カラーチャートを参考に厳格に選定されます(平成26年時点)。この基準を満たしたうえで、プレミアム、特秀G、特秀、秀G、秀というランクに分類されます。

ルビーロマンから造られたワイン「ルビーの輝き」

平成27(2015)年2月、この超高級ぶどうを用いて造られたロゼワイン「ルビーの輝き」が、限定発売されました。

企画は金沢市の青果専門店サカイダフルーツ、醸造にあたったのは奥能登でナチュラルなワイン醸造に定評のある能登ワインです。

ワインの開発にも、さまざまな困難がともないました。

通常、ワイン用に用いられる原料ぶどうは、したたかな酸味を持っています。甘味、果実味、酸味などが絶妙なバランスで調和していることが、美味しいワインの必須条件なのです。

しかし、生食ぶどうとして開発されたルビーロマンは、濃厚な甘味に比して、酸味が少ないことを特徴としているため、ワインとして調和的な味わいに仕上げ、かつルビーロマンらしい味わいを出すことが難しかったのです。この問題は、ルビーロマンの生ジュースを混ぜ合わせる「ジュースリザーブ」法を導入することで克服。また、ルビーロマンの美しい色合いを表現するために、1.5%だけ穴水産の赤ぶどうヤマソーヴィニョンを加えるなど、さまざまな工夫が凝らされています。

「ルビーの輝き」に込められた願いとその魅力

こうしてできあがった「ルビーの輝き」は、720mlで54000円。ルビーロマンをイメージした美しい紅色の釉薬がかけられた九谷焼のボトルに入れられています。

ワインを造るための環境や条件を「テロワール」といいます。この言葉には、気候や土壌、地理的用意から、品種適正の他、そこに住み、ぶどうを育て、ワインに醸す人びとの気質までも含まれます。なにからなにまで、石川県にこだわり抜いた「ルビーの輝き」は、まさにテロワールの傑作といえるでしょう。そのこだわりを賞玩するためにも、ベストマッチのグラスでいただきたいものです。

Author: 高山 宗東

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ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元


専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。

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