グラスによって異なる香りと味わいを堪能! タリスカー グラステイスティング・セミナー

グラスによって異なる香りと味わいを堪能! タリスカー グラステイスティング・セミナー2017.09.26 UPDATE

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2017年6月15日、リーデル青山本店において、「タリスカー グラステイスティング・セミナー」が開催されました。

タリスカーは、世界中で愛飲されているシングルモルトウィスキー。ワイルドかつエレガントなその味わいは、「これぞアイランズモルト」と、高く評価されています。

絶品のシングルモルトウィスキーをテクストとしたグラス・エデュケーション

スコットランドの北西部の島々、オークニー島、ルイス島、スカイ島、マル島、ジュラ島、アラン島で造られるウィスキーを、アイランズモルトといいます。

その中でも、「霧の島」と呼ばれるスカイ島で造られる「タリスカー」は、複雑なアロマをたたえた絶品のシングルモルトウィスキー。

グラスのかたちによって、ワインの味香が大きく異なって感じられるということは、リーデルのグラステイスティングセミナーではすっかりおなじみですが、今回のセミナーでは、タリスカーをテクストに、シングルモルトの味香の変化を体験していただきます。

タリスカー×リーデル 魅惑の競演

タリスカーが醸し出すイメージ

映画や文学作品において、飲み物はしばしば、登場人物のキャラクターを如実に描き出す小道具として使われます。

たとえば名探偵エルキュール・ポアロが、クレーム・ド・バナナなどの甘いあまいリキュールを気取った手つきで飲んでいると、ミステリーファンは、「いかにもポアロらしい演出だなあ」などと、感心したり、喜んだりするもの。

タリスカーというウィスキーも、そうした演出にしばしば使われます。

たとえば、ピアース・ブロスナンがジェームズ・ボンドを演じた007シリーズの『ワールド・イズ・ノット・イナフ』(2000英米)や『ダイ・アナザー・デイ』(2002英米)では、ボンドの上司Mがタリスカーを飲むシーンがあります。

そもそもMというキャラクターは、原作では第二次世界大戦中の英海軍情報長をジョン・ヘンリー・ゴドフリー提督がモデルといわれています。したがって、映画でも代々男性俳優が演じていたのですが、1995年から2012年まで、女優のジュディ・デンチがこれを演じました。

この、「女性ながらMI6の局長をつとめている」という設定にピタリと当てはまるウィスキーは、タリスカーの他にないかもしれません。

『宝島』の著者ロバート・ルイス・スチーブンソンが「King of Drinks(酒の王)」と評したタリスカーには、まるで潮風のような風味をたたえ、したたかにワイルドでありながら、かつエレガント、そしてピリッとしたペッパリーな香気を際立たせる——というイメージがあります。したがって、これを愛飲するジュディ・デンチを観た鑑賞者は、「なるほど、このMなら、並みいる男たちを統べてしまうだろうなあ」と、腑に落ちるというわけです。

「MADE BY THE SEA」というテロワール

タリスカーは、スコットランド北西部、インナーヘブリティーズ諸島最大の島であるスカイ島に唯一存在する蒸留所。1830年に、マカスキル兄弟によって創業されました。

スカイ島は一名「霧の島」と呼ばれ、絶え間なく海から潮風が吹き寄せます。また、タリスカー蒸留所は入り江に存在しており、その潮風を髣髴とさせる味わいからも解るように、海からの影響を色濃く受けています。

「MADE BY THE SEA」——タリスカーのすべてのラベルに書かれたこの言葉は、そんなテロワールを物語るメッセージなのです。

まずは、3種類のグラスで香りをとる

テイスティングに用いられたのは、

シングル・モルト・ウイスキーグラス
コニャックグラス
テキーラグラス

の、三種類。

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はじめに、プラカップで配られたタリスカーをテイスティングすると、スモーキーで磯っぽい、いかにもアイランズモルトらしい香りが立ちます。スパイシーなニュアンスは、タリスカーらしい特徴です。味わいは、少しとがり気味。アルコール感を強めに感じます。

これを、①のシングルモルトグラスに注ぎ、香りをとると、先程の「磯っぽさ」は、穏やかで心地良い「潮の香」に。これは、グラスの縁が反り返った「香りを下から持ち上げる」かたちによる効果。香りを籠らせるのではなく、いい塩梅で逃がす構造によって、スモーキーさや、磯っぽさなど、個性的な香りがエレガントに感じられるのです。同時にアルコールもほどよく抜けるため、全体に穏やかな印象になります。

次に、②のコニャックグラスに注ぐと、香りは、よりフルーティー&フラワリーに感じられるようになります。これは、コニャック用に選ばれたこのチューリップ型のかたちによって、タリスカーの中の甘味の要素が際立つからでしょう。逆にタリスカーの特徴であるスパイシーさは、甘味の後ろに隠れてしまっているような印象があります。

③のテキーラグラスは、無色透明のテキーラではなく、熟成し、ほんのりと色づいたテキーラに適したもの。このグラスにタリスカーを注ぐと、甘味のニュアンスは抑制的になりますが、ストンとしたグラスのかたちによって、アルコールの揮発感が強めに感じられます。

3種のグラスで味わいを比較

味わいを比較する際に気をつけておきたいのは、タリスカーがどのように舌に触れ、どのように流れていくか、ということ。

このテイスティングは、③のテキーラグラスからはじめます。テキーラグラスはグラスの縁の口径が小さいため、飲む時に鼻につかえてアゴがあがります。タリスカーは、舌の中頃に落ち、速いスピードで舌の奥へといざなわれます。したがって、ウィスキーの骨格や芯が感じられ、グッと強い印象に。アフターに潮の香りが強く感じられるのも、グラスのかたちによるものでしょう。

②のコニャックグラスは、グラスの縁の反り返りが特徴。このくびれが、口に入ろうとするタリスカーに一度立ちはだかるため、液体はそれを乗り越えて本当に少量づつ、大げさにいえば数滴づつ口の中へと入っていくのです。こうして、細い流れでゆっくりとコントロールされながら入っていくと、アルコールはやわらかく感じられ、舌先では甘味を強く感じます。香りの時と同じく、②のコニャックグラスは甘味を感じやすい構造といえそうです。

さて①のシングルモルトグラスは、寸胴で、くびれのないかたち。②のように、香りをため込むかたちではないため、フルーツやフラワーのニュアンスは控えめです。相対的に、スモーキーさや磯っぽさにスポットが当たる印象になります。また、②と同じくグラスの縁が反り返ったかたちですが、その反り返りがやや穏やかなため、やさしく舌にまとわりつくように流れ込みます。すると、舌先から舌の横へと広がったタリスカーからは、「トロリとオイリーで、艶っぽく、程よい甘味があり、アフターがペッパリーに引き締まる」という、持ち合わせたキャラクターが満遍なく感じられるのです。

最良のグラスで、極上の時を

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「グラスそれぞれに、タリスカーの特徴が感じられます。最後は飲む人の好みですが、シングルモルトウィスキーの味わいも、グラスによってこれほど異なるということを知ってもらいたい」と、MHD モエ ヘネシー ディアジオ シングルモルトアンバサダー、ロバート・ノーマン・ストックウェル三世さん。

とはいえ、タリスカーというシングルモルトウィスキーの個性を存分に堪能するならば、①のシングルモルトグラスが適任、といえるでしょう。

ところで、今回のテクストとなったタリスカーは「タリスカー10年」でしたが、2006年に蒸留され2016年にボトリングされた、アモロソシェリー樽で追加熟成をおこなった「タリスカー ディスティラーズ エディション」を①のシングルモルトグラスで飲むと、「もの凄くクリーミー」に感じられる、とのことです。

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  • 髙山 宗東
  • muneharutakayama

ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元


専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。

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