ワイングラスの名門ブランド - RIEDEL(リーデル)
TOP > ENJOY WINE > Event > 【ワイナリーへ行ってみよう vol.2】シャトー・メルシャン椀子ワイナリー:ワイナリーを支える人たちこそテロワールの根幹かもしれない

2020/11/06

EventColumn

【ワイナリーへ行ってみよう vol.2】シャトー・メルシャン椀子ワイナリー:ワイナリーを支える人たちこそテロワールの根幹かもしれない

「刑事コロンボ」「古畑任三郎」。この2つに共通するものは?

答えは。。。どちらも、日米を代表する「倒叙ミステリー」の傑作です。

一般的なミステリー・ドラマでは、犯人や犯行の動機、実際の犯行の様子が明かされるのは、ドラマの最後の最後ですが、「倒叙ミステリー」では、作品の冒頭に犯行の様子が明かされます。いわゆる「ネタバレ」というやつですね。
1本1本のワインを「ミステリー作品」だとすると、ワイナリー訪問、そして現地での試飲の醍醐味は、この「倒叙ミステリー」の魅力に重なるものがあるような気がします。

「最後に謎が解明される」形式のドラマは、ワインで言う所の「ブラインド・テイスティング」にあたります。完成したワインから、色々な情報を読み取り、その氏素性を読み解いてゆく。結末が見えないミステリーを読みながら、その先のストーリーを予測する面白さにつながります。

一方でワイナリーでの試飲は、実際にワイナリーを訪れ、造り手の解説を聴きながらワインを楽しむわけですから、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」などの「よくできた倒叙ミステリー」を観るときのように、すでに犯人がわかっていることで、事件解決までの駆け引き・展開をより深く楽しむことができるのです。

今回、11月22日(日)に行われる「リーデル 特別オンラインセミナー from 椀子ワイナリー」では、なかなかワイナリー現地にまでいけない方々にも、あたかもワイナリー訪問をしているかのように、実際に生産者の解説(謎解き)を聴きながら、そのワインを楽しんでいただける、その疑似体験をして頂くことができる、またとない機会になると思います。

前回のブログでは、ワイナリーや畑のことなどについて書きましたが、今回の「椀子ワイナリー訪問紀・第2弾」では、ワイナリーで働く人たち、特に、今回の特別イベントにゲスト出演していただく「小林弘憲ワイナリー長」についてご紹介できればと思います。

「甲州きいろ香」誕生に大きく貢献。世界に冠たる日本を代表するワイナリーを担うワイナリー長:小林弘憲さん

現在でこそ、シャトー・メルシャンの最も新しい椀子ワイナリーのワイナリー長である小林さんですが、かなり以前から小林さんを知り、なおかつリーデルとしても「甲州グラス」の開発をしているということもあって、やはり、「メルシャンの小林さん」といえば「甲州ワインプロジェクト」と、そこから繋がる「甲州きいろ香」の開発に至るストーリーを、まずは思い浮かべます。

小林弘憲・椀子ワイナリー長と「甲州きいろ香」開発にまつわる興味深いお話しは、シャトー・メルシャン公式ページ「Makers Vol.3」、勝沼ワイナリー(現シャトー・メルシャン)元工場長の上野昇氏との対談に詳しく語られていますのでご参照ください。

椀子ワイナリーでの事前打ち合わせの際にも、甲州ブドウの話題で盛り上がりました。

実は「甲州ワインプロジェクト」の当初の研究ターゲットは、「香り」というよりも「酵母」だった・・・とか
ブドウの熟度を高めるために、房の下半分を切り落としていた(落とした下半分はさらに研究に活用)・・・とか

複数品種のブドウを栽培している椀子ワイナリーでは、品種ごとに収穫のタイミングもずれるのに対して、特に「甲州きいろ香」では、香りの要素が高まる収穫のタイミングが重要なので、「ここだ!」というタイミングでの収穫とその後の醸造で、一種お祭りのような盛り上がりだった・・・とか。
改めて、面白いお話しをたくさん伺いました。

今回、11月22日の特別セミナーのテーマは「椀子ワイナリー」なのですが、せっかくの小林さんのゲスト出演です。もし「甲州きいろ香」の開発にご興味のある方は、そんなご質問をいただければ、もちろん小林さんも、熱く語って頂けると思いますので、ぜひぜひご参加、そしてご質問をお待ちしています。

小林ワイナリー長が語る、椀子ワイナリーの魅力

実際にワイナリーを訪れ、小林さんとお話しをする中で、庄司の印象に残ったのは、次のようなことでした。

このブログ内では、スペースの関係で細かく書けないのですが、ぜひ特別セミナーの中で小林さんに語って頂きたいと思っています。

・今は亡き、シャトー・マルゴー総支配人ポール・ポンタリエとシャトー・メルシャンとの出逢い、そしてワイン造りの変化について
・椀子ワイナリーの立地と雨の降りかたについて
・椀子ワイナリーの土壌と風がもたらす、椀子ワインのキャラクターについて
・今後の椀子ワイナリーが目指すもの

時間の都合と、庄司の力量不足などから、どこまで小林さんの楽しいお話を引き出せるか。
庄司自身も不安を抱きながらも、すごく楽しみにしています。ぜひ皆様も、小林さんの解説を耳にしながら、素晴らしいワインを楽しんでください。

椀子ワイナリーの人たち:吉田弥三郎さん

今回ヴィンヤードの説明をして頂いたのが、こちらの吉田さんと佐々木さんのおふたり。いずれも、ワイン一筋、とは異なる多彩な経歴の持ち主で、とても温かいお人柄でした。

吉田弥三郎さんについては、シャトー・メルシャン公式ページの「Makers」に、吉田さんの記事が載っていますので、ぜひご覧ください。大学では林業を学ばれ、その後花の栽培に関わられてのちに入社。
一番印象に残っているのは「試行錯誤」という言葉。吉田さんの口からは何回となく聞かれました。
2003年に開園した椀子ヴィンヤードも、ようやく17年を迎えたわけですが、それでも、この地でのワイン造りの経験、という点で見れば、まだ20回も行なっていないわけです。

その経験の中から、椀子らしいブドウ造りをされるわけですが、当然年ごとに天候は変わります。
そんな、人知の及ばない天候を相手にする吉田さんからは、風に吹かれる柳のような、自然の持つ大きな力に対する畏敬の念と諦観、その中でブドウ造りを極めてゆく覚悟、を感じました。

「シャルドネ」。写真の畝では、ブドウの状態を見極め、除葉されてブドウが直接日光を浴びることができるようになっています。こんな点も、その年の天候や生育状況などを見ながら、最善手を選んでいるんですね。

椀子ワイナリーの人たち:佐々木文平さん、鎌田偉成さん

こちらは、佐々木文平さん。写真は、ソーヴィニヨン・ブランの南側の区画にて。

最初お会いした時は、その雰囲気から、かなり経験を積まれた方なのかなと思ったのですが、以外にも、椀子には2016年から。それまでは、北海道富良野で圃場管理、精油製造を、その後、山形県園芸試験場にてサクランボ、西洋梨の新品種育成、茨城の農業生産法人にて葉物野菜の生産などを行われていたそうです。

佐々木さんからは、椀子ヴィンヤードが取り組むチャレンジングな試みを、色々とお聞きしました。そこに共通しているのは、やはり「日本らしさ、であり、椀子らしさ」。もちろん、スタート時点では、西欧のスタンダードをベースとした栽培をされていたそうなのですが、年を追うごとに経験が蓄積され、また、ワインづくりにも「日本らしさ、椀子ワイナリーらしさ」を追求するという背骨が確立したことで、ブドウ栽培にも「椀子らしさ」を表現するべく、色々な試みを取り入れていらっしゃるそうです。

陽を浴びたソーヴィニヨン・ブランと、遮ったソーヴィニヨン・ブラン

写真上が、除葉して、ブドウに日が当たりやすくした状態のソーヴィニヨン・ブラン。写真下が、葉を落とさずに、日当たりを抑えたソーヴィニヨン・ブラン。

これ、食べ比べたのですが、鼻に抜ける香りが全然違う。日がよく当たっているブドウからは、確かにトロピカルフルーツ的なニュアンスが感じられ、日当たりを抑えた方からはハーブ系・グリーン系のニュアンスが明確に感じられました。

同じブドウ品種とは思えないくらいに違う。これは、畑で実際に食べ比べてみないとわからないですね。とても面白い体験でした。

この除葉による日当たりのコントロールは、チーム椀子のもう一人、ソーヴィニヨン・ブラン大好きな鎌田偉成さんのアイデアが活かされているのだそうです。

椀子ヴィンヤードには、写真に写っている区画とは別に、「一番北寄りの区画」に、しかも、「畝の向きが東西方向」の区画があります。年ごとの天候を反映してのブレンドの塩梅も、これから楽しみなワインです。

「全て」を意味する「オムニス」

年ごとに大きく異なる天候の中で、最善手を見極め、決断し、実行する

椀子の風土の中で感じる美意識を元に、目指すワイン像を明確にイメージし、そのイメージを具現化するための醸造作業を繰り返す

そのための、手間暇を惜しまない

ワインを語るとき、その土壌や天候、醸造方法に目が行きがちですが、ぶどうの栽培、ワインの醸造、を日々の作業レベルで実際に考え、判断し、決断し、実行しているのは、一人一人の造り手たちです。

きっと、この「オムニス」という言葉の中には、今回ご紹介した「造り手」も含まれていることでしょう。

実は、この「オムニス」。

小林さんによれば、最初は「椀子スペシャル」という仮名だったとか。うーん。。。まぁ、いいですよね、わかりやすくて(笑)

でも、ワイナリーの人たちだけではなく、例えばマーケティングチームとかも含めた、ワイナリーに関わる全ての方々の意見の中から、「すべて」を意味するラテン語「オムニス」という命名になったのは、すごく良かったのではないかと(笑)。

ブログの写真では、お伝え仕切れなかったと思いますが、椀子ワイナリーを囲む自然、特徴的な強粘土という土壌、ワイナリーに吹き続ける風、そして、自然の恵みをひとしずくのワインへと昇華させる手間暇を、試行錯誤を繰り返しながら惜しみなくかけ続ける造り手の人々。

その全てが込められた「オムニス」。ネーミングにも、チームメルシャン、チーム椀子の、熱い想いを感じます。

11月22日(日)14:00〜 オンライン特別セミナー from 椀子ワイナリー

11月22日の特別セミナーでは、残念ながら、リーデル銀座、青山、名古屋店でのご参加の方のみ、となってしまいますが、小林ワイナリー長のお話しに耳を傾けながら、椀子ワイナリーの全てを内包すると言われる「オムニス」を味わいたいと思います。
ぜひ、お楽しみに。

  • 庄司 大輔Daisuke Shoji
  • (社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ/リーデル社 ワイングラス・エデュケイター

1971年神奈川県生まれ。明治大学文学部文学科卒業、専攻は演劇学。 学習塾、レストラン勤務などを経て、1998年(社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ呼称資格取得。1999年にボルドー地方サンテミリオンの「シャトー・トロットヴィエイユ」で学ぶ。2000年リーデル・ジャパン入社、日本人初の「リーデル社グラスエデュケイター」となる。リーデルグラスとワインの深いつながりやその機能を、グラス・テイスティングを通して広く伝えるため、文字通り東奔西走している。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pinterest
TOPへ戻る