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2016/08/22

Column

さわやかな酸味&フルーティーな香り、魅惑のドイツワイン

germany

ドイツといえばビールをイメージする方が多いかもしれませんが、ドイツはワイン産出国としても知られています。

ことに白ワインの充実ぶりは、ヨーロッパでも屈指。リースリング、ミュラー・トゥルガウやシルヴァーナなど、品種も多彩。香り高く清冽な味わいのものや、リッチでコク深いもの、ストラクチャーに優れた品格あるものなどなど、アイテムも充実しています。

ヨーロッパ屈指の白ワインの産地

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ドイツ南部のモーゼル河やライン河流域に展開する地域では、古代ローマ時代からさかんにワイン造りがおこなわれてきました。

近年では、シュペート・ブルグンダー(ピノ・ノワール)種などの赤ワインも注目を集めていますが、なんといってもドイツワインの真骨頂は荘厳華麗な白ワイン。ぶどう栽培の北限ともいうべき地で、丁寧に育まれた果実には上品な旨味が存分にたたえられています。

実はとても奥深い、ドイツ白ワインの世界

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ドイツワインの真骨頂リースリング

ドイツワインを考えるうえで、リースリングという品種の存在は欠かすことができません。15世紀の古文献に初見されるこのぶどうは、他品種に比べて圧倒的に栽培の手間がかかるにもかかわらず、18世紀末には主要産地であるライン川やモーゼル川流域のぶどう畑をほとんど席捲してしまいます。

白い花や柑橘を思わせる華麗なフレーバーがあり、また、ぶどう品種の中でも指折りのしたたかな酸をもつリースリング。この品種特性が、瞬く間にドイツを代表するぶどうとなった理由といえるでしょう。

このしたたかな酸に拮抗させるために、旨味や果実味などの他の味わいの要素を、厳格なまでに研ぎ澄ませたワイン造りが実践されます。優しい味わいの奥に強さを秘めたリースリングは、白ワインながらも驚くほど長期の熟成にも耐えます。

ドイツワインとその格付

ドイツには、その厳格なお国柄を表わすかのように、極めて明解なワインの格付があります。

ターフェルヴァインはいわゆるテーブルワイン。この上に、地酒にカテゴライズされるラントヴァイン、QbA(クヴァリテーツヴァイン・ベシュティムター・アンバウビゲーテ)と呼ばれる限定生産地域上質ワインなどが続きます。

また2000年からは、クヴァリテーツヴァインのうち辛口のものを下から順に、クヴァリテーツヴァインbAトロッケン、クラシック、セレクションとカテゴライズされるようになりました。また、モーゼル地域には、これに加えて「リースリングS」という独自の品質基準があります。

さらにこの上には、QmP(クヴァリテーツヴァイン・ミット・プレディカート)と呼ばれる、肩書付上質ワインがあります。

QmPには、カビネット、シュペートレーゼ(遅摘み)、アウスレーゼ(遅摘み房選り)、ベーレンアウスレーゼ(遅摘みの中からボトリチス・シネレア菌に犯された貴腐ぶどうのみを粒選り)、アイスヴァイン(自然にぶどうが凍る時期まで収穫を待ち、エキスだけを抽出したもの)、トロッケンベーレンアウスレーゼ(粒選りぶどうの中から、さらに乾ぶどう状になったもののみを選ったもの)の6種類があります。

辛口、甘口ともに汎用性の高さが特徴

端的にいえばこの格付は、原料ぶどうの果汁に含まれる糖度によって規定されます。ドイツは、「ぶどう栽培の北限」といわれるところ。したがってかつては、糖度の高いぶどうを栽培することは、品質の高いぶどうを栽培することとイコールだったのです。

しかし、近年辛口白ワインの需要と供給が伸びてくるにしたがい、しばしば誤解を招くようになりました。そもそもの基準が「糖度」であるため、「原料ぶどう果汁の糖度が高い」ということがイコール「甘いワイン」と取り違えられるようになってしまったのです。原料果汁の糖度が高くても、醸造によって、辛口のワインに仕上げることは可能です。

また一方で、上品な甘味を残した古典的ドイツワインには、他の追随を許さない魅力があります。ただ甘いだけのワインでは、どうしても印象が薄くなってしまいますが、ワイン全体のバランスを考えた時、甘味と匹敵するほどの酸や、ミネラルがたたえられていると、調和的な円グラフができあがります。

優れたドイツワインは、味覚の円グラフの見事な調和によって、たとえ甘口であっても、驚くほど汎用性高く、食事にも合わせることが可能になるのです。

適したグラスで、ドイツワインの真価を

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リーデルでは、リースリング種から造られたワインには、縦長グラスのラインナップの中でも、最もボウルが長い形状のグラスをおすすめしています。

これは、リースリング種に含まれる多彩な香りの要素を、集約するかたち。そしてこのグラスは、リーデルのグラスを用いた、ソムリエコンテスト、ワインの品評会、テイスティング会などにおいて、「最もニュートラルな白ワイン用グラス」として使用されている人気者でもあります。

ボウルの中にあふれた豊かな香りは、すぼまった口径へと集約され、舌先に導かれたワインが勢いよく舌を流れ、酸と果実味が見事に調和。白ワインならではの魅力が、存分に堪能できるグラスなのです。

Author: 高山 宗東

  • 髙山 宗東muneharutakayama
  • ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元

専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。
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