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2019/11/15

How to

【リーデル わいん部_012】シャンパーニュのための「優しいスワリング」とは?

シャンパンを飲むとき、みなさんは「スワリング」をしていますか?

2014年に発表された <ヴェリタス> シリーズは大きなインパクトをもたらしました。ステムの細さ、飲み口を含めたグラス全体の繊細さと軽さ、トータルバランスなど、マシンメイド・グラスとしてのひとつの到達点を具現化したシリーズとなりました。そして、この <ヴェリタス> のもうひとつの大きな特徴でもあったのが、シャンパーニュグラスの世代交代を象徴するシリーズであったことです。

<ヴェリタス> シリーズは、第1世代の「クープグラス」、第2世代の「フルートグラス」に続く、シャンパーニュ・グラスの第3世代の到来を告げたシリーズでもあります。ワイングラス的な卵型の形状をもった「シャンパーニュ・ワイン・グラス」「ロゼ・シャンパーニュ グラス」がラインナップされたこと。またその一方で、これまで長らくシャンパーニュ・シーンでの確固たるポジションを固めていた「フルートグラス」が、初めてシリーズ・ラインナップから外れました。

ここで声を大にして言いたいことがあります。「シャンパーニュ・ワイン・グラス」のすぼまりの強い卵型のボウル形状を語る時、ほとんどの場合「香り」の側面に終始してしまいがちです。ところがこの形状、「香り」だけではなく、シャンパーニュの大きな魅力のひとつとされる「きめ細やかで繊細な泡の質感」を楽しむためにも、大変重要な役割を果たしているのですが・・・。このお話しはまた別の機会に。

「シャンパーニュにワイングラス」、ここで満足してしまってはいませんか?

「シャンパーニュをワイングラスで」それだけでは、不十分なのです

「シャンパーニュをワイングラスで」。。。確かに、卵型のボウル形状は、シャンパーニュの香りをよくひらかせ、鼻腔へ集め、私たちを楽しませてくれます。でも、もうひと手間をかけることで、シャンパーニュに潜む素晴らしい香りを、さらに引き出すことができるんです。

それが「スワリング」です。

「泡がとんでしまう」と思われるかもしれませんが、大丈夫。ここでいう「スワリング」は、ワイングラスを勢いよく回す、あの「スワリング」ではありません。「優しいスワリング(ソフトなスワリング)」です。

「優しいスワリング」とは

実は「スワリング」には、その目的に応じて大きくふたつの種類があるんです。

ひとつは「ワイングラスの中でワインを回し、ワイン自体と空気とを触れさせる」ために行う、あの「スワリング」。ここでは「ハードなスワリング」と呼びましょう。

そしてもうひとつが、ワイングラスの内壁にワインを馴染ませることを目的とする「ソフトなスワリング」

シャンパーニュを楽しむ時には、泡が飛んでしまいそうで、いわゆる一般的な「ハードなスワリング」を行わない方も多いと思うのですが、少なくとも「ソフトなスワリング」は、ぜひ行なって頂きたいのです

ワイングラスのボウル部の内壁にシャンパーニュを馴染ませると、それまで以上にシャンパーニュの素晴らしい香りがボリュームをグッと増してきます。このとき、ボウル内壁にできるシャンパーニュの膜の表面積をできるだけ大きくしたいので、とても重要なのが「どこまで注ぐか」ということ。

「シャンパーニュ・ワイン・グラス」にシャンパーニュを注ぐのは、ここまで。卵の一番太いところよりも、1cmほど下あたりが、ベストポジションです。

シャンパーニュを注ぎすぎてしまい、液面が最大径部を超えてしまうと、膜の表面積がどんどん小さくなってしまいます。

卵型のボウルならでは曲線を活かして、シャンパーニュの表面積を最大化しましょう。

「ソフトなスワリング」3つの方法

この「ソフトなスワリング」の方法はいくつかあります。

どの方法でも構いません。目的は「シャンパーニュの表面積を最大化」すること。

1)ステムと台座部の接点を支点にグラスを傾け、その角度を維持しながらボウルを公転させる






ワインが触れた箇所には、グラスの表面にねっとりとシャンパーニュが膜を張っているはずです。ここからシャンパーニュの香りがさらに引き出されるのです。

2)ワイングラスを傾け、ステムを指で支えながら、台座をくるくると回転させる

ステムを指で支えながら、その角度を維持しつつ

台座をくるくると回します

3)ボウルの底部をテーブルに置き、その角度を維持しながらワイングラスを転がす

ボウルの最も太いところからその下あたりの局面をテーブルにのせ、その角度を維持しながらコロコロとグラスを回転させます

どの方法でも構いません。目的は、ボウル内壁にシャンパーニュの膜をできるだけ大きく張りめぐらせることです。
このシャンパーニュの膜を2cmでも1cmでも拡張させることができれば、ワインと空気が触れあう面積、香りが発せられる元の表面積が、それだけ大きくなります。そうすれば、より一層シャンパーニュの香りを楽しむことができるはずです。

ぜひ「優しいスワリング」のひと手間を取り入れることで、最高の状態で、ベスト・フィットなグラスで、これからも素晴らしいシャンパーニュ、スパークリングワインを、たくさん楽しんでください!

  • 庄司 大輔Daisuke Shoji
  • (社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ/リーデル社 ワイングラス・エデュケイター

1971年神奈川県生まれ。明治大学文学部文学科卒業、専攻は演劇学。 塾講師、レストラン勤務などを経て、1998年(社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ呼称資格取得。1999年にボルドー地方サンテミリオンの「シャトー・トロットヴィエイユ」で学ぶ。2001年リーデル・ジャパン入社、日本人初の「リーデル社グラス・エデュケイター」となる。リーデルグラスとワインの深いつながりやその機能を、グラス・テイスティングを通して広く伝えるため、文字通り東奔西走している。
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